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止まらない少子化、意識改革を

2006年6月14日 (水)

 厚生労働省は2005年人口動態統計月報年計の概況を先に公表した。予想された通りの結果とはいえ、合計特殊出生率は1・25と前年よりさらに0・04ポイントも低下しており、改善の兆しすら見られない。

 また、出生数が前年より5万人弱少ない106万人強である一方、死亡数は5・5万人増の108・4万人で、人口が2万人あまり減少したことになる。人口の自然減は、現在の形式で調査が開始された1899(明治32)年以来、初めての出来事である。

 将来的に人口の増減がないとされる合計特殊出生率は2・07とされる。厚労省の担当者によると、仮に2・07がいま直ちに達成・維持できたとしても、今後70年間は人口が減少し続けるという。しかし現実の合計特殊出生率は、とてもそんな状況ではないため、わが国の人口はこれから100年も200年も減り続けると予想される。年金など社会保障制度は維持できるのか、心配は増すばかりだ。

 出生率低迷の原因としては、晩婚化と産み控え、さらに結婚しない若者たちが増えたこと等が指摘されている。

 男性の初婚年齢は05年で29・8歳と、15年前より1・4歳高くなり、30歳に手が届くまでになった。女性も2歳高くなって28・0歳だ。また、第1子出生時の母親の年齢は、30年前は25・7歳だったが、20年前は26・7歳、10年前27・5歳、05年が29・1歳と年々上がってきている。

 産み控えも多くなった。03、04年は、特に第1子の減少が大きかったが、05年は第1子ばかりでなく第2子の減少も目立ち、それぞれ前年より2・5万人、1・8万人と大幅に減少した。

 一方、政府が一昨年立ち上げた「社会保障のあり方に関する懇談会」が、5月末に報告書を取りまとめた。

 報告書では、全ての国民が社会的、経済的、精神的な自立を図る観点から、日本の福祉社会は自助・共助・公助の適切な組み合わせで形作られるべきと指摘。特に社会保障は、国民の「安心感」を確保し、社会経済の安定化を図るため、今後も大きな役割を果たすとの基本的認識を示した。その上で、持続可能な制度とするため、給付と負担を継続的に見直すと共に、社会保障需要が縮小していくような政策努力が不可欠との考え方を述べている。

 この報告書でも、「少子化対策の推進」を今後の課題として挙げている。少子化の流れを変えるためには、雇用や経済を含めた社会経済環境の整備をはじめ、地域や企業の創意工夫も生かしながら、家庭や家族を大切にする意識を国民に啓発することを含め、国を挙げて少子化対策に全力で取り組むことを求めている。中でも、人口規模の大きい第2次ベビーブーム世代(71074年生まれ)が30代にある今後5年間の取り組みが、非常に重要との見方をしている。

 現在、少子化対策には多角的な取り組みが行われているが、「子育てにいかに価値を見出すか」が要ではないかと思う。少子化に伴う危機感をあおる以前に、人を思いやり、家族を慈しむ心を育むといった当たり前の意識改革が、あらゆる面で求められるのではないか。




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