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強まる医療適正化の意識

2017年2月3日 (金)

 米国発祥のキャンペーン「Choosing Wisely」(賢明な選択)が、日本で広まろうとしている。これは、医療者と患者が対話を深めて根拠に乏しい過剰な医療を見直し、患者にとって本当に役立つ医療を賢明に選択することを呼びかけるもの。米国内科専門医機構財団(ABIM)が2012年から開始し、各国に取り入れられた。日本でも16年10月、活動を主導する任意団体が発足し、注目を集めるようになった。

 このキャンペーンの特徴のひとつは、見直しが必要な過剰な医療行為を具体的に提示していることだ。米国では、臨床的意義が低く、再考すべき医療行為を五つずつリストアップするようABIMが呼びかけたところ、米国の主要な約70の臨床系専門学会から合計400以上の「無駄な医療」が示された。「上気道感染症に対する抗生物質の処方は避ける」「高齢者に対する脂質異常症治療薬の定期的な処方は避ける」など、具体的な医療行為が根拠文献と合わせてウェブサイトで全て公開されている。

 無駄な医療や過剰な医療を見直す医療者の意識はここ数年、日本でも強まってきたように思える。残薬の実態が明らかにされたことや、不適切なポリファーマシー(多剤併用)の是正が診療報酬で評価されるようになったことが背景にある。

 こうした環境の変化は、薬の適正使用を職能の柱とする薬剤師の業務を後押しするものだ。チーム医療の一員として医師や患者と対話しながら、過剰な薬物療法や無駄な薬物療法を見直し適正化を促す薬剤師としての業務を実践しやすくなるだろう。とはいえ、受け身では何も変わらない。これをチャンスと捉えて、薬剤師から能動的に働きかけることが求められる。

 「Choosing Wisely」がウェブサイトで公開している無駄な医療のリストは、それを実践するための参考情報として活用できそうだ。日本で発足した任意団体「Choosing Wisely Japan」は、その日本語訳を進めて専用ウェブサイトに掲載する予定。また、日本でも各臨床系専門学会が無駄な医療のリストを提出する環境整備を進めたいとしており、米国のようなリストが今後出揃うことを期待したい。

 このほかのツールとしては、10年ぶりに全面改定され15年末に発表された日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」が有名だ。「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」「開始を考慮するべき薬物のリスト」が掲載されており、適正な高齢者の薬物療法を考える上で役立つ。

 このように不必要な医療の適正化に向けて各種ツールが充実し、環境が整ってきたことをまずは認識すべきだ。その上で薬剤師は、率先して過剰な薬物療法や無駄な薬物療法を見直す意識を持ち、医師や患者に積極的に働きかけて意識変革を促す役割を担ってほしい。




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