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偽造薬の脅威、日本でも認識必要

2017年1月27日 (金)

 ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造薬が奈良県内で薬局チェーンを展開する関西メディコの「サン薬局」で調剤されていたことが発覚した。生駒郡の平群店で2ボトル、奈良市の平松店で2ボトル、生駒郡の三室店で1ボトルが見つかったのに続き、東京都内にある2カ所の卸売販売業者でも9ボトルが新たに発見された。東京都内で発見された偽造薬は正規のボトルに入っていたが、外箱や添付文書がない状態だった。

 ハーボニーの正規品は、ひし形でだいだい色、表面に「7985」「GSI」と刻字された錠剤が28錠入っていて、ボトルはアルミ製の内フタで固く密封され、指で簡単にはがすことができないのに対し、偽造薬はまだら模様の薄い黄色で、だ円形の錠剤となっているものや薄い紫色の錠剤などだという。

 いずれの偽造薬も既に回収されているが、サン薬局平松店では、偽造薬を調剤して患者に手渡していた。たまたま患者が製品のボトルを開けた時、薬の形状に違和感を覚えて薬局に問い合わせて発覚したまでで、健康被害がなかったのは不幸中の幸いである。

 これまでに分かっている流通ルートを見ると、東京都の卸業者から次々と別の業者に偽造薬が転売されており、新たに発見された卸業者から関西メディコに納入された可能性もあるという。

 問題は、薬局チェーンが正規の卸ルートとは違うルートの問屋から仕入れたこととされるが、正規ルートから製品を仕入れず、たとえそれが偽造薬と知らなかったとしても実際に患者に偽造薬を調剤したことの事実は重い。薬局チェーンとしてのモラルが厳しく問われてしかるべきだ。

 ただ、企業や個人のモラルだけの問題でもない。日本では医療用医薬品の偽造薬がほとんど流通していないと考えられ、世界的に高く評価されてきただけに衝撃は大きい。いったん国内で偽造薬が流通してしまうと、様々な卸業者からの転売などによって一気に広がってしまう問題への対応をどうするかという課題も突きつけられた。

 特に今回発覚したのは、高額薬剤として知られるハーボニーの偽造薬であり、今後も薬価差益を目的にこうした事態の発生は十分あり得る。

 既に世界では、以前から偽造薬は公衆衛生上の脅威とされ、WHOを中心に監視や取り締まりを強化してきている経緯があるが、日本では対岸の火事という認識はなかっただろうか。

 もちろん、現段階で偽造薬の流通がどこまで広がっているか不明で、海外で製造されたものが入ってきたのか、国内で製造されたのかも分かっていないが、ハーボニー偽造薬の発覚を契機に、これまで必ずしも関心が高くなかった日本でも偽造薬の流通があることを薬剤師など全ての医療関係者が認識し、日頃から注意を払う必要が出てきたことは確かだ。




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