聖マリ医大が報告書‐新たに6試験の中止勧告へ
聖マリアンナ医科大学は14日、神経精神科学教室の准教授らが実施した抗精神病薬ブロナンセリンとアリピプラゾールの医師主導ランダム化比較臨床試験で、実際は単剤試験になっていた実施計画の変更を隠ぺいし、被験者からの開示要求に対してカルテを勝手に改ざんするなどの不正が行われていたと結論づける調査報告書を公表した。製薬企業から講師謝金等を受け取っていた利益相反も申告せず、報告書は「企業に有利となるよう不正を行ったのではないかという疑念を拭えない」と指摘。さらに、同教室が関わる他の6試験でも割付が行われないなどの違反が発覚し、これら試験の中止を勧告した。
同研究は、統合失調症患者を対象に、抗精神病薬のブロナンセリンとアリピプラゾールをランダム化して投与し、認知機能障害に対する効果と両剤の違いを比較検討する目的で実施された。一連の不正は、同教室で精神保健指定医の不正取得が発覚し、責任医師の資格取消処分を知った被験者が臨床試験への参加取り消しとデータ削除を求めたことを契機に明るみに出た。既に同大生命倫理委員会からの勧告により、研究は中止されている。
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