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薬害再発防止策、土台をしっかりと

2008年1月30日 (水)

 薬害C型肝炎事件は、被害者救済法が施行され、解決の道が開いた。次は薬害再発防止策が課題となる。求めたいのは、土台のしっかりした防止策だ。

 サリドマイド、スモン、ソリブジン、エイズ、クロイツフェルト・ヤコブ病、そして今回の肝炎と、主な薬害だけでもこれだけ並ぶ。この間半世紀近く、国と製薬企業は矢面に立ち続けてきた。事件のたびに国は、再発防止を誓い、薬事法の改正など規制の厳格化を図ってきた。しかし、それでも薬害は起きてきた。

 最善と思っていた仕組みが形骸化したり、現状にそぐわなくなる。そのため狙い通りに機能せず、薬害が起きたりする。

 対策が狙い通りに機能することを担保する仕組みがあるか否かも含め、過去の対策を検証した上に防止策を講ずるという姿勢で臨むことを求めたい。それこそ政府が言う「原点に立ち返った」防止策の検討だと考える。

 注目したい分析がある。薬害エイズ事件を受け、総合研究開発機構(NIRA)が約2年かけ1998年にまとめた「薬害等再発防止システムに関する研究報告書」(座長・黒田勲=元早稲田大学教授)だ。医療以外の航空機事故の専門家も交え、過去の薬害の要因を分析している。

 いくつかの要因があるが、「リスク管理システムの発想の欠如」「副作用の危険性判断」が比較的共通し、他の要因も連鎖して起きたと指摘。それを踏まえて、国、企業、医療従事者に向け九つの提言をまとめている。報告書は国の検討には十分に活用されなかったが、参考にすべき内容だと思う。

 分析したい事例もある。服用者の異常行動との関連が疑われている抗インフルエンザ薬「タミフル」の問題で昨年3月、厚労省がそれまでの因果関係ナシとする見解を撤回したケース。その背景として、その時点まで死亡事例以外を十分に認識していなかったことがある。安全対策は厚労省と医薬品医療機器総合機構が連携して行う。それがうまくいっていないのではないかと疑わせる。

 総合機構は「収集した情報について、高い専門性を有する職員による科学的分析を通じ、緊急に対応が必要な案件はないか」などを調査・検討するのが役割だとしている。当時、情報は本省とどうやりとりされ、本省はタミフルと異常行動の問題をどう認識していたのか。

 総合機構は04年の発足以降、承認審査のスピードアップが焦点だったが、一方の要である安全対策業務が狙い通り機能しているか、今こそ分析していいはずだ。安全対策業務には、企業から約12億円が拠出されている。それ以前の本省の安全対策予算の304倍といわれ、安全対策は強化されていなければならない。

 薬害肝炎事件の検証を第三者機関で行うことを国は約束した。それを含め防止策を検討するための材料は溢れている。

 検討は、責任を認めた政府だけでなく、被害者救済に動いた国会議員の側も与野党超えて、行うことを求めたい。薬害再発防止は、戦後の未解決問題の代表格であり、政治を含め国を挙げて取り組むのにふさわしいからだ。

 そして、今度こそ薬害再発防止を実現したい。




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