2006年6月14日に公布された改正薬事法に基づく、新たな一般用医薬品の販売制度が、09年度完全施行に向けて、環境整備が段階的にだが着実に進められてきている。1月31日には、4月に施行される登録販売者制度に伴う「薬事法施行規則の一部を改正する省令」が官報公示された。昨年9月に公表されていた省令案から、やっと「案」の文字が取れたことになる。
医薬品販売制度の見直しのこれまでの経過では、まず昨年4月までに医薬品のリスクに応じた分類(103類)が実施された。次に、医薬品(203類)販売に従事できる資質確認のための「登録販売者試験」の実施ガイドラインが厚労省の検討会議論を経てまとめられ、昨年8月には実施要領も発出。9月には同試験制度の規定施行期日を今年4月1日と定めた政令が公布。今回、省令の公示により、まずは登録販売者制度についての国のスタンスは示された。今月からは、医薬品販売の環境整備として▽情報提供のあり方▽医薬品の外箱表示▽店舗販売業の管理者――など、最終の詰めに向けた検討がスタートする。
登録販売者試験を実施する各都道府県は、省令公示の予想以上の遅れから、試験実施までの『逆算スケジュール』の予定が非常にタイトなものになると懸念を抱く向きが少なからずある。例えば、受験手数料ひとつとっても、各自治体は議会での条例改正が必要なほか、試験会場確保のための予算請求などは、08年度事業計画に盛り込み、議会承認という手続きを経なければ、公に進められないためだ。
しかしながら、試験の実施主体となる各都道府県の薬務主管課では、来年度の試験実施に向けた作業が、水面下では進められている。
中でも、自治体担当者が頭を悩ましているのは、受験者数の把握のようだ。試験実施要領の中では、特に初年度は複数回の試験実施を配慮することとされているだけに、試験会場手配から細かな事務的作業まで、受験者数を想定した対応が必要不可欠になるからだ。
全国の受験者数が初年度5万人程度と予測される中で、今回の登録販売者試験は、特に受験地制限が設定されていない。もちろん、試験日の統一化という縛りもないため、各自治体で試験日が異なれば、1人が複数の自治体にわたって受験することも可能になる。特に交通の便が良い都市部では数千人01万人の単位で受験者が押し寄せることも想定される。
現在、複数の自治体の薬務主管課では、地域ブロックごとに「試験日」や「試験問題」などを統一して実施していく方向で調整を進めているとも聞く。現時点でも非公式ながら、地域によっては08年度の第1回試験は8月、第2回は2月に実施する計画にあるとの話も出ている。地域ブロック単位での試験日統一は、受験地の分散化を図るという狙いが少なからずあるという。
いずれにしても、各自治体による登録販売者試験実施に関する詳細公示は4月以降の見通しだ。登録販売者試験の受験希望者が円滑に準備を進めることができるよう、可能な限り早い段階で同試験概要が示されることを期待したい。