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Dgs業態の“新たな進化”に期待

2017年05月12日 (金)

 小売業における数少ない成長分野とされるドラッグストア業界。確かに表向きの数字を見れば、依然として拡大している姿はうかがえる。しかし当事者側とすれば、出店競争や価格競争等が激化し、異業種を含めた顧客獲得競争など取り巻く環境は厳しい状況が続いている。加えて、異業種参入や業務資本提携、M&A等の生き残りをかけた業界再編の動きが継続しており、新たな成長材料を求めているのが実情だろう。

 ドラッグストア業態の今後の経営環境変化の中で、新しい社会的機能と成長軸を示す“道しるべ”的なものとして日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は今春、「次世代ドラッグストアビジョン」を打ち出した。策定の目的について同協会では「JACDSが行う実践支援活動と企業の実践活動が連動することで、各社の効果的な成長活動になることが狙い。ドラッグストア企業各社の自由な営業活動を制限したり、強制的に実施するものではない」とする。

 同ビジョンは、ドラッグストア店舗として満たすべき要件(基本機能)と、ドラッグストアが健康サポート店舗として満たすべき要件(必須実施項目と選択実施項目)で構成される。各社はこの指針について、自社の状況に合わせて可能なものから実施する。そして、内容の一定項目を満たした店舗を「健康サポートドラッグ」として認めていく考えだ。

 健康サポートドラッグの認定の流れは、企業がJACDSに申請(無料)し、内容を確認する。そして前記ビジョンをクリアしている店舗を、日本ヘルスケア協会に推薦する。そして日本ヘルスケア協会が審査決定し、認定と同時に日本ヘルスケア協会のホームページで健康サポートドラッグであることを公表する。

 企業側は、認定の連絡を受けたら、店舗でも健康サポートドラッグとして実施する機能を、顧客に伝えていく──というもの。

 JACDSでは、次世代ビジョンの重要性を理解し、健康サポートドラッグへの取り組みを実施する会員企業については「積極的に支援を行っていく」という。さらにはドラッグストアが地域の健康情報拠点、街の健康ハブステーションとして生活者の健康維持・健康づくりの解決策を提供する「コンシェルジュマスター制度」にも着手したい考えだ。

 日常的に最も買い上げ頻度が高い生活必需品を低価格で提供し、店舗によっては調剤機能も有するなど、様々な利便性やサービスを提供するドラッグストア。地域社会の健康インフラとして進化するためには、さらなる環境整備が必要ともいえるが、厚生労働省が示した基準に適合する「健康サポート薬局」の浸透に合わせ、まずは“ドラッグストア業界版”店舗展開の早期実現が期待される。



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