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必要とされる薬局には限りがある

2017年10月20日 (金)

 全国から約1万3500人が参集し、都内で行われた第50回日本薬剤師会学術大会が成功裏に幕を閉じた。

 大きな節目となる大会では、過去最多となる47の分科会が企画されたほか、開会式で、大会史上初めて現役の首相が来賓あいさつで祝辞を述べるなど、何かと話題の多い大会となった。

 学術大会前日の7日に開かれた「都道府県会長協議会」では、病院の敷地内薬局誘致の問題が話題となり、依然として、動きが活発化している状況に懸念を示す声が相次いだ。

 会議で宮城県薬剤師会の佐々木孝雄会長は、全国22都道府県で42の医療機関が敷地内薬局の開設や誘致の計画を進めているなどの数字を提示したほか、広島県薬剤師会の豊見雅文会長は、県内で開設を目指している市立病院が敷地内ではなく、「建物内薬局」の誘致を計画していることを報告。「あらゆる手段を使って反対すべき」との声も上がった。

 ことの発端は、薬局の構造規制が緩和されたことによるものだが、規制緩和の要因は、しっかりとした分業を進めてこなかったことによるものとは考えられないだろうか。

 いくら「医薬分業の理念に反する」と主張しても、その義務をしっかり果たしてきたのかという疑問がついて回る以上、「敷地内反対」のロビー活動を行ったとしても、事態は大きく変わらないだろう。

 ただ、全国で42の医療機関しか誘致に動いていない状況を鑑みると、それほど「うまみ」はないのかという印象を受けた。

 そう考えると、敷地内に関する実態調査や、最低限の主張は必要だが、そこに固執し過ぎることはあまり得策ではないのかもしれない。

 混沌とした状況でこそ、やるべきことは至ってシンプルだ。医療・介護など社会保障費の急増が懸念される2025年までに、いち早く必要とされる薬局になることを目指す。これに尽きるだろう。しかも、その薬局数には限りがある。なぜなら、もはや頭打ちとなった処方箋枚数は、既に減少に転じているからだ。

 限られた処方箋を奪い合うよりも、OTC薬や介護用品を置き、検体測定室も設置して健康相談にも応じる体制を整えるなど、保険調剤に依存しなくても自分の足で立っていられる薬局づくりを進め、国民を味方につけることの方が得策だ。

 50回大会では、「健康サポート薬局」「国民から求められる薬局は何か」をテーマにしたセッションが盛況だったことが救いになっている。こうしたマインドは、いち早く現場レベルにまで浸透させなくてはならない。



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