2016年4月、厚生労働省から「女性活躍推進法」が施行されて以来2年が経過した。その間、「働き方改革」「健康経営」「女性躍進推進」の重要性と注目度が高まりを見せ、働く女性も増加傾向にある。
その一方で、「20年まで女性管理職比率30%」を目標とする中、女性ホルモンの変動による様々な不調のために日常生活や業務に支障が出て、昇進に前向きになれない女性も少なくない。
女性ホルモンの変動は、生涯における長期的変化の更年期障害と、短期的変化の月経前症候群(PMS)に大別される。
更年期障害には、月経異常と自律神経失調症状があり社会認知度が高い。月経異常は卵巣機能の低下に伴って42~56歳頃に発症し、月経周期が短縮する場合が多い。
自律神経失調症状は、閉経婦人の60~70%に認められる。閉経後10年以上経過すれば4%にまで低下し、継続するものではない。上半身の「のぼせ」、下半身の「冷え」を大きな特徴とし、「憂うつ」「イライラ」「不眠」「記憶力低下」などを惹起する。
他方、PMSや月経前気分不快障害(PMDD)は、一般社会や医療サイドの認知度がかなり低い。両疾患の発症はセロトニン関与説が有力で、月経の1~2週間前から始まり、月経開始後数日で症状が消滅する。
疾患特有の症状としては、むくみ、腹部の張り、乳房の痛みなどの身体症状と、うつ、イライラ、眠気、だるさ、過食・拒食などの精神症状がある。
精神症状がひどければ、社会や学校、家庭生活で大きな障害となるが、その原因を理解するだけでも症状が緩和されるため、社会全体での認知が必要不可欠となっている。
疾患啓発の有用な方法として、街の薬局での説明や学校薬剤師による疾患教育が挙げられる。加えて、薬局薬剤師は、更年期障害やPMS、PMDDの症状改善に寄与することも可能だ。
重度な更年期障害や、PMS、PMDDでは、いずれも、エストロゲン製剤やプロゲステロン投与によるホルモン補充療法が施される。
症状が重度でない場合や予防では、「生活指導」「バランスのとれた食事」「適度な運動」と共に、女性ホルモン様作用を有する「エクオール」の摂取がポイントになる。
エクオールは、通常、豆腐などの大豆イソフラボン含有食品から摂取できる。大豆イソフラボンに腸内のエクオール産生菌が働いて作り出されるが、体内でエクオールを作れる人と作れない人がおり、日本では、作れる人が減少傾向にある。
体内でエクオールを作れない人は、大豆の効果を十分に発揮できないため、エクオール含有機能性食品の利用が一つの手立てとなる。
「健康サポート薬局」制度がスタートして地域住民の主体的な健康維持・増進を積極的支援への期待が高まる中、街の薬局・薬剤師はこうした現況を把握し、女性の働き方改革のための健康支援にも尽力してほしい。