厚生労働省は19日、認知症対策の一つとして、「認知症コーディネータ」を全国市区町村の地域包括支援センターに配置する案をまとめた。認知症でケアが難しい、あるいは虐待があるといったケースに対し、専門家の連携による支援体制が不十分だったことから、相談窓口となる支援センターにコーディネータを配置し、専門職間の連携・調整を図りながら患者を支援する。7月をメドに取りまとめ、来年度概算要求に盛り込みたい考えだ。
この案は、厚労省老健局の「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」に提案された。支援センターは全国約3500カ所あるが、全てに配置するわけではなく、必要な人数などの詳細はこれから詰める。
認知症の介護に関しては、▽職員の知識・ノウハウの不足▽施設や地域間での質の格差▽関係者の連携不足▽サービスの利用しにくさ――などの課題が指摘されている。
老健局の提案によると、認知症コーディネータが全国に150カ所ある認知症疾患医療センター、認知症かかりつけ医、介護サービス提供主体や権利擁護の専門家らとネットワークを作り、介護を担う家族などからの相談に応じると共に、ケアが困難な事例に対し支援を行う。また、コーディネータが配置されたセンターは、配置されていない近接のセンターに対して、各専門職間の連絡調整を図った上で、相談支援をサポートする。
19日の会合で老健局は、若年性認知症についても、労働や障害者福祉などの関連分野と連携して、ネットワークを作る必要性も指摘した。遠藤英俊委員(国立長寿医療センター包括診療部長)は「発症が40歳以上なら介護保険でカバーされるが、20歳代で発症する事例もある。対策に漏れがないように」と要望した。
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