診療報酬制度を通じて、40兆円超と防衛予算の8倍に相当する医療費の配分で大きな役割を果たしてきた厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)。
本書は、厚生労働省保険局医療課長を務めた著者が、時代の流れや事件の中で、中医協の組織や役割に変化があったことに触れながら、その変遷と意義、さらには外部からの動き、働きかけについて言及し、今後の医療・医療制度の方向性についての展望も述べています。
また、省庁が公開している審議会や検討会、メディアの情報などを整理し、解釈するための基礎的な知識、公表資料の行間を読み取るコツや、事業仕分けなど筆者の過去の経験談、最近の政治情勢、行政の動きについても書き綴っています。
推薦の声
中医協で実際に改定議論に携わった筆者が示す今日の医療の課題解決に向けた提言には説得力があり、一読に値する一冊といえる。
──日本医師会会長 横倉 義武 氏
厚生労働省にもいろんな役人がいるが、小泉厚生大臣の頃から私が可愛がっている佐藤敏信君が本を書いたと言う。高齢社会の中で社会保障の問題は避けて通れない。佐藤君が書いたというのなら、私もじっくり読んでみようと思う。
──内閣官房参与、元内閣総理大臣秘書官 飯島 勲 氏
目次
はじめに
第1章 わが国の医療制度と中医協
1.わが国の医療保険制度の特徴と中医協
2.中医協の始まり
3.中医協委員の構成と組織
第2章 中医協と診療報酬改定
1.医療保険制度とは
2.診療報酬とは
3.診療報酬・薬価改定は2年ごと
第3章 中医協のあり方変えた出来事
1.医療費亡国論の公表
2.中医協のあり方変えた「下村-臼田事件」
3.民主党政権発足で一変する中医協
4.中医協が事業仕分けの俎上に
5.2002年度に中医協史上初のマイナス改定-その舞台裏-
第4章 ステークホルダー/主導権の変遷
1.武見日医会長と厚生省・中医協
2.役所主導への変化
3.自民党と厚生省・中医協
4.官邸・経産省時代へ
5.薬価改革も官邸が主導
6.消費増税の使途の変更がもたらすもの
第5章 今日的課題
1.財源をどう確保するのか
2.合理的・科学的意思決定の時代
3.データが物をいう時代
4.制度・システムの簡素化が必要だが
5.高額医薬品問題
6.医療技術評価と医師・医療機関の機能・能力評価
7.地域医療構想による影響
8.生き残り策とは
9.わが国の医療の持続可能性
10.わが国の医療は本当に効率的なのか
11.2018(平成30)年度診療報酬改定の焦点
12.地域包括ケアシステムと予防・健診の行方
これから
著者
佐藤 敏信(さとう としのぶ)
久留米大学特命教授(医療政策担当)
日医総研客員研究員
1983年 山口大学医学部卒業。同年厚生省入省。大分県環境保健部健康対策課長、岩手県保健福祉部部長、厚生労働省雇用均等児童家庭局母子保健課長、厚生労働省医政局指導課長などを経て、2008年に厚生労働省保険局医療課長、2010年に環境省総合環境政策局環境保健部長、2013年に厚生労働省健康局長を歴任。2017年より久留米大学特命教授。
【著者】佐藤 敏信(’19.1)
【判型・頁】A5判・152頁
【定価】1,980円(消費税込み)
ISBN:978-4-8408-1477-5 C3047
※ 送料:国内1カ所送付につき、重量5kg以下 660円、重量5kg超 990円