医薬品医療機器法改正に伴う厚生科学審議会制度部会で機能別の薬局が論議され、現時点で薬局を▽入退院時や在宅医療で医療機関などと連携して対応できる薬局▽癌などの専門的な薬学管理ができる薬局――に分類することが想定されている。
ただ、薬局の機能分類は、専門知識を持つ薬剤師の存在なくして成り立たないのは言うまでもない。高い専門性を求める薬局を作っても、そこで働く薬剤師のスキルが標榜するに覚束ないようであれば、トラブルを招くばかりになるかもしれないからだ。
日進月歩に医療・医学が進歩する昨今において、より高度な薬物療法の指導ができる薬剤師が必要とされているのは間違いない。特に抗癌剤は複雑で、医師もなかなか全てを理解し得ない分野になっている。これからの癌治療は、在宅で患者に複雑な抗癌剤が投与されたり、働きながら治療をする時代になるため、患者の要望に対応できる地域の薬局は不可欠になる。
また、より高齢化が進む中で、健康サポート薬局としての機能を果たすには、薬局の専門性を標榜することも重要な必須項目の一つになる。患者が医師を選ぶ時に学会認定医の標榜を見るように、薬局も薬剤師の専門性を告知すれば、地域の住民も的確に薬局を選択できるようになる。
さらに、糖尿病や癌など、より複雑化する薬物療法において、地域の保険薬局にも専門の薬剤師が存在するとなれば、地域の住民も安心して在宅医療を受けることができるはずである。
一方で、既存の専門薬剤師の認定取得には、病院の勤務経験を要件とするものも少なくなく、保険薬局の薬剤師にはそのまま適応しづらい面がある。とはいえ、6年制薬剤師の医療資源を、フラットに活用するだけではあまりにももったいない。6年制卒の薬剤師の勤勉意欲を高め、頼りにされる薬剤師となるためのモチベーションを向上させるためには、薬剤師の専門性を評価する認定制度の構築は避けて通れない。
どのようにして専門的薬剤師を育成すれば良いのか。専門的薬剤師の認定制度を日本薬剤師会が単独で構築するのは難しいことが予想されるため、日本糖尿病学会や日本循環器学会などと日薬がタッグを組み、糖尿病、循環器領域の薬局薬剤師向け認定制度を作るなどの方法が考えられる。学会側も、薬剤師の参加で会員増のメリットが期待できるだろう。
医師の認定制度は、学会ごとに認定条件が異なるが、薬剤師は個別疾患ごとに学会がないことから、日薬と日本病院薬剤師会が協力すれば、資格の認定はそう難しくないのではないだろうか。
今後、日薬と日病薬が協力し、関係学会や各専門薬剤師認定制度の連携を図りつつ、全ての薬剤師が専門薬剤師の認定を取得しやすい環境作りの構築が望まれる。