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日本ジェネリック医薬品販社協会の江口博明会長(西部沢井薬品代表取締役)は、本紙のインタビューに応じ、「調剤薬局チェーンがジェネリック医薬品(GE薬)の発注を1社に絞りつつある。次の追補収載以降は、生き残れる販社が具体的に選別されていくだろう」と述べ、7月の追補収載が販社再編の引き金になるとの見方を明らかにした。その上で、江口氏は「もう自分の会社だけという甘い考えでは通用しない。われわれ自身が本当にGE薬を普及させるための力を付けなければ、確実に淘汰される時期に来ている」と強調。GE販社協として本格的な再編に向き合う覚悟を示した。
厚生労働省の「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を受け、販社をめぐる環境も大きく変化してきた。江口氏は「調剤薬局チェーンが販社を1社に選別し始めている」と変化の実例を挙げた上で、「7月の追補収載から、有力な販社に集約され、選別された販社だけがGE薬の販売を担っていくだろう」と読む。7月の追補収載が、販社にとって大きな転換点になると見ている。
実際に、江口氏は「もう全ての販社が生き残っていける時代ではない」と断言。「そのことはアクションプランで明確になった。7月の追補収載が再編に大きな役割を果たし、いよいよ具体的な事例が出てくる可能性が高い」と予測する。
調剤薬局チェーンの動きとは別に、販社の経営状態そのものも再編の導火線になっている。アクションプログラムを受け、販社の売上高は約20%増加した。しかし、配送機能の充実や人的コストなど、付帯経費の増加が大きな負担となって、増収減益が免れない状況にあるという。
江口氏は、「販社が生き残るためには、不安定な経営状態から脱却し、安定経営を維持しなければならない。それができる販社とできない販社の選別が確実に起こってくる」と危機感を示す。既に販社協の会員各社は、こうした状況を理解し始めているようだ。
最近は大手広域卸を中心に、GE薬を取り扱う卸企業も増えてきている。江口氏は、「確かに広域卸の力は非常に大きく、われわれもGE薬を普及させるノウハウを持っているので、今後は広域卸と販社の共同歩調が必要ではないか」との考えを示した。広域卸と販社がお互いにカバーできない部分を補うことで、協調を進めていきたい考えだ。
その背景にあるのは、GE薬を普及させることが国民皆保険制度の維持・発展に貢献するという哲学だ。現在、GE薬普及に向けたインセンティブとして、後発品の調剤率30%以上の薬局は、「後発医薬品調剤体制加算」で4点を算定できる。
しかし、江口氏は「インセンティブがなくなっても普及するような努力をすべきだ。大きな視点で考えれば、われわれ自身が本当の意味でGE薬を普及させるための力を持たなければならない」と述べ、販社の一層の努力を促した。
今後、日本のジェネリック市場に対し、外資系など大手メーカーの参入が予想される。江口氏は「大きな変化に対応できなければ、小さい組織のわれわれは吹き飛ばされてしまう」と指摘。「そうならないために、どうしたらいいかを真剣に考える時期だし、厳しい環境の中で存在価値を発揮できる販社協でなければならない」と気を引き締める。
まだ、販社の目指す方向性については、販社協でも統一した見解は得られていないが、江口氏は再編をテコに、かつて経験したことのない厳しい生き残りレースへと挑む覚悟を示した格好だ。
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