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川崎重工業は、今月から細胞自動培養装置を創薬研究用途向けに新発売した。信州大学病院先進医療推進センターで行われていた実証試験では、手作業での培養と同等の増殖能、品質が得られており、今後、iPS細胞など再生医療への応用に加え、創薬開発などでの利用が期待される。 再生医療には、骨や神経細胞など多くの細胞に分化する間葉系幹細胞を主体とする接着系細胞が用いられるが、接着系細胞の培養は医療用クリーンルーム内での無菌操作が必要となる。また、培養操作は作業者の経験による部分が多く、汚染防止のため複数患者の細胞を同時に扱うことが難しいなど、自動化が困難だった。
そこで川崎重工では、要素技術として滅菌技術と画像処理技術、ロボットを使った自動培養技術を開発。それらを組み合わせて自動培養を可能にした。
装置は培地交換、継代、細胞回収、細胞観察という手培養で行っていた一連の手法を、そのまま自動化。継代は遠心分離を使用し、細胞の剥離時にはタッピングやピペッティングもできる。また、画像処理装置を装備しているため、装置内での細胞観察もでき、ほぼ人手を介さずに複数患者の細胞を目視培養することができるようになった。
サイズは幅約3m、奥行約1m、高さ約2mで、クリーンロボットや培養操作部、インキュベータ、画像処理装置などでコンパクトに構成され、2面を壁付けできるため研究室などへの設置も容易。
自動培養装置の開発は、科学技術振興機構(JST)の独創的シーズ展開事業のテーマとして、北海道大学工学研究科の高木睦教授らの研究成果をもとに進められていた。
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