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変貌続ける医薬品卸の事業展開

2019年06月28日 (金)

 最先端ロボットスーツを装着してリハビリトレーニングを行うセンターの開設、QRコードを使用して認知症高齢者等を地域で見守り保護するサービスの提供と聞いて、どんな企業を思い浮かべるだろうか。一般的には、技術工業系企業やIT系企業によるサービスの一環だと想像するだろうが、実は両方とも医薬品卸企業のサービスである。

 5月25日、バイタルネットが同社八乙女ビル1階に「仙台ロボケアセンター」をオープンした。サイバーダインが開発したロボットスーツ「HAL」を用い、リハビリトレーニングプログラムを提供する。ロボケアセンターは全国に6カ所あり、仙台は7カ所目、東北地方では初となる。

 HALは、脳からの電気信号を受けてロボットスーツを駆動させて、運動機能を回復させる点が特徴であり、ロボットが強制的に動かすのではなく、自立歩行を望む自分の意思で動かすことをサポートする。

 筋萎縮性側索硬化症や脊髄性筋萎縮症など8疾患のリハビリで保険適用となっているが、交通事故や病気の後遺症に対するリハビリは保険適用外であり、トレーニングは1回90分で1万8000円と、決して安くはない。

 自社ビルに開設していることから、場所代はかからないにしても、専門教育を受けたスタッフを常駐させる必要もあり、この事業が採算に合うかは難しいところだろう。あくまでも、自立歩行を願う地域住民に、効果のあるプログラムを提供するという地域貢献に他ならない。

 14日には、東邦ホールディングスが記者会見を開き、認知症高齢者・障害者等保護情報共有サービス「どこシル伝言板」の使用方法や採用状況などを説明した。自治体、地域住民、警察、消防、医療、介護、福祉関係者が担う「地域見守りネットワーク活動」を支援するシステムである。ネーミングはどこにいるかを知る・QRコードシールと、昔駅にあった伝言板をかけたものだそうだ。

 個人情報を登録したQRコードを服に貼付し、保護すべき人を見かけた際にそのコードを読み取ることで、場所の情報を送信すると共に保護時の初期対応などが画面で分かる。同サービスは現在、23都県の70市町村で採用されているが、同社は地域包括ケア、地域住民、社会への貢献として、さらに普及させていく意向を表明した。

 大手医薬品卸グループはこれまでも、本業の医薬品卸売事業のほかに医薬品等製造、調剤薬局、医療関連など多様な事業を展開してきた。各社の独自色も鮮明になってきて、今後皆が同じ姿になることもないだろう。

 平時・災害時を問わず医薬品を安全、安心、安定して確実に届けるという本筋は維持しつつも、卸売事業の枠を超えて医薬品卸が将来どのような姿になるのかに思いを馳せると、ワクワクとドキドキが止まらない。




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