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◆北海道洞爺湖サミットの議長総括に「顧みられない熱帯病」(NTD)に感染した人々に支援を届けるとの合意が盛り込まれた。2000年に国連が設定した「ミレニアム開発目標」は、15年までにエイズ、マラリア、結核の3大感染症の蔓延を食い止めることを目標としている
◆今回、NTDが世界的な感染症対策の枠組みに盛り込まれた意義は大きい。G8サミットでは、今後5年間で感染症対策に600億ドル(約6兆円)を供与することで合意した
◆しかし08年は、ミレニアム開発目標の中間年だが、感染症対策は全く進捗が見られておらず、15年の目標達成は絶望視されている。北海道に集結したNGOから「G8は決めたことを守らない」と批判が相次いだ。先進国の政治リーダーに合意を実行に移すよう働きかけを強めるしかない
◆まだ日本ではNTDを含む感染症への関心は低いが、国際保健分野への貢献は、日本の貴重な外交資源でもあり、医療に関わる多くの英知を途上国支援に生かし、国民的な関心を高めていく必要がある。そこにはNGOだけでなく、医療従事者、製薬企業などが積極的に関わっていいはずだ。
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