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薬剤師が受動喫煙防止の先頭に

2019年09月13日 (金)

 望まない受動喫煙の防止を図ることを目的として、昨年7月に成立した改正健康増進法の一部が7月に施行され、学校や病院、児童福祉施設、行政機関の庁舎などの第一種施設では原則、敷地内禁煙となった。来年4月の全面施行後は、喫煙を主目的とする施設以外は屋内禁煙となる。愛煙家にとっても、喫煙時の他者への配慮は、「マナー」から「ルール」に置き換わった。

 かつては電車、バス、飛行機などの公共交通機関、映画館など、現在では考えられない場所でも喫煙できた時代があったことを考えると、喫煙に対する考え方の変化に隔世の感を禁じ得ない。一方、他人のタバコの煙を吸うだけで、喫煙者と同じ疾病を発症するリスクがあるとされている。脳卒中、肺癌、虚血性心疾患などで、年間約1万5000人が受動喫煙にさらされなければ、これら疾患による死亡が回避できたとの推計データもある。

 今回、敷地内禁煙ルールがスタートした第一種施設は、受動喫煙により健康を損なう恐れが高い▽20歳未満▽患者▽妊婦――が主な利用者である施設を指す。当然、薬局はそこに該当する。開設者や薬剤師等の従事者も、受動喫煙防止に向けた改正健康増進法の趣旨をきちんと理解した上での対応が求められる。

 こうした中で、大阪府では全国トップクラスの受動喫煙防止対策を進めていく方針を打ち出している。一層の受動喫煙の防止に向けた対策として「大阪府受動喫煙防止条例」を3月に制定。大阪で日本国際博覧会が開催される2025年4月の全面施行に向け、国際都市として全国に先駆けた対策を段階的に進めていく考えだ。

 受動喫煙防止条例は、東京、兵庫、神奈川などの自治体が先行するが、大阪府の条例では来年4月から第一種施設について、改正法より踏み込んだ形で敷地内全面禁煙とする努力義務を課す。屋内禁煙のみならず、屋外でも敷地内には特定屋外喫煙場所を設置しないことを求めている。

 現在、府では受動喫煙防止対策の啓発リーフレット(三つ折りA4サイズ)を作成したり、吉本興業のタレントを起用した啓発動画を作成して府民にも広くアピールしていく構えである。

 こうした受動喫煙防止の気運が高まる中で、薬局などの開設者が考慮しなければならない課題は、店頭でのタバコ販売だろう。現状を見ると、依然としてタバコを販売している薬局が少なからずある。

 日本薬剤師会は「薬局・薬店ではタバコの販売を行わない」という宣言文を追加した「新・禁煙運動宣言」を06年に出しているが、現状はどうなのだろうか。禁煙相談なども含めて、国民の健康維持や増進に貢献すべき薬局薬剤師が、まずは受動喫煙防止の急先鋒となって取り組んでいかなければならないのは当然である。国民に見える形で薬剤師の職能をアピールできる好機と捉えたい。



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