C型肝炎治療薬で肝機能障害を確認、FDAが注意喚起

2019年09月25日 (水)

この記事は2019年09月25日に配信された記事です。
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 米食品医薬品局(FDA)は2019年8月28日、C型肝炎の治療薬として、中等度から重度の肝機能障害を有する患者にマヴィレット(一般名グレカプレビル・ピブレンタスビル)、Zepatier(一般名エルバスビル・グラゾプレビル、日本での製品名エレルサ・グラジナ)、またはVosevi(一般名ソホスブビル・ベルパタスビル・ボキシラプレビル、日本国内未承認)を使用すると、肝機能障害の悪化や肝不全を招く恐れがあるとして注意喚起を行った。

 C型肝炎は肝臓に炎症を起こすウイルス性疾患で、未治療のままでいると重篤な肝機能障害を引き起こす。マヴィレット、Zepatier、Voseviは、肝機能障害がないか障害が軽度のC型肝炎患者に対する治療薬としてFDAの承認を受けており、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製を防いで増殖を抑えることで体内からHCVを排除する作用を持つ。代償性肝硬変または軽度肝機能障害がある患者を対象にした臨床試験では、忍容性および有効性が高いことが示されている。

 今回、FDAは、C型肝炎に対する治療として、マヴィレット、Zapatier、Voseviのいずれかを処方された患者のうち、肝機能が悪化した63例を確認。なかには肝不全を引き起こした例や死亡例もあった。しかし、その多くは中等度から重度の肝機能障害があり、これらの薬剤を処方されるべきではない患者であったという。また、治療開始前に、肝硬変がないまたは代償性肝硬変と報告されていたが、実際には進行した肝疾患の兆候や肝機能障害のリスク因子を有していた例が数例あった。大半の患者は、服薬を中止することで症状が改善された。

 FDAは、医療提供者に対しては引き続き、医療専門家向け添付文書の指示に従い、肝機能障害のない患者または肝機能障害が軽度の患者に対してマヴィレット、Zepatier、Voseviを処方するよう求めている。

 一方、マヴィレット、Zepatier、Voseviのいずれかを服用している患者に対しては、これらの薬剤により重篤な肝機能障害が生じることはまれであることを理解し、医療提供者に相談することなく服薬を中止してはならないこと、また、肝疾患のある患者は同薬のリスクとベネフィットについて医療提供者と話し合うことを呼び掛けている。

 米ノースウェル・ヘルスのDavid Bernstein氏はこの3薬について「適切に処方されれば、有効かつ安全である」とし、「C型肝炎患者の大半は、肝機能障害を持っていない。そのため、同薬剤は安心して使用できる」と述べている。また、肝機能障害を有する患者に対しては、ハーボニー(一般名レジパスビル・ソホスブビル)やエプクルーサ(一般名ソホスブビル・ベルパタスビル)が肝機能に悪影響を及ぼさないため、安全であると付け加えている。(HealthDay News 2019年8月29日)

Source
https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/hepatitis-news-373/fda-warns-of-liver-problems-for-some-taking-hep-c-drugs-749763.html

(参考情報)
News Release
https://www.fda.gov/news-events/fda-brief/fda-brief-fda-warns-patients-and-health-care-professionals-about-rare-instances-serious-liver-injury


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