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静岡がんセンターとアストラゼネカは18日、抗癌剤の基礎研究・臨床試験に関わる非独占的包括契約を締結した。アストラゼネカの抗癌剤パイプラインの中から両者が有望な化合物を選択し、日本人・アジア人に特有の胃癌、肝細胞癌などに有効な抗癌剤の早期開発を目指す。抗癌剤開発に関して、医療機関と製薬企業が基礎研究から臨床試験までの包括契約を締結するのは国内で初めて。
今回の包括契約は、アストラゼネカの抗癌剤パイプラインに関して、静岡がんセンターの臨床医と共同で日本人・アジア人に有効と見られる候補化合物を早期段階から選択し、世界同時開発を進めるというもの。臨床医が日本人・アジア人の癌患者に有望と判断した化合物を、早期段階から積極的に開発することで、ドラッグ・ラグの解消を目指していく。
また、バイオマーカー研究などのトランスレーショナルリサーチで、効果や副作用発現の人種差を明らかにすることにより、特色のある抗癌剤を理論的に開発できるようにする。
18日に行った調印式で静岡がんセンターの山口建総長は、「抗癌剤に強いグローバル製薬企業のアストラゼネカと契約を締結できたのは、静岡がんセンターの腫瘍内科医とCRCの努力が認められたことが大きい。より画期的な抗癌剤開発を実践していくことが、患者さんの福音の第一歩になる」と包括契約の意義を強調した。
アストラゼネカの加藤益弘社長は「日本人とアジア人に有効な抗癌剤を開発していくことは、ローカライズしてこそ本当のグローバル企業というわれわれの主義に合致しており
、強力な連携で目的を早期に実現したい」と強い意欲を示した。
既にアストラゼネカは、同様の契約を欧米の癌専門医療機関10数施設と締結しているが、静岡がんセンターは今後、抗癌剤開発を手がけるグローバル製薬企業との契約をさらに模索していく考え。
契約期間は、基礎研究に関しては3年間の期限を設けているが、臨床試験に関する契約期間は設定されていない。また、契約内容には金銭的な授受は含まれていない。
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