
日本臓器製薬はあす27日から、脊柱側弯症の早期発見に利用可能な一般医療機器「3Dバックスキャナー」(写真)の発売を開始する。同製品は、慶應義塾大学医学部と理工学部、名古屋工業大学と慶大発のベンチャー「スペースビジョン」が共同開発した。これまで触診や視診で行われてきた脊柱側弯症健診に比べて判定精度の向上につながるという。学校検診現場や整形外科領域を対象に、初年度50台の販売を目指す。
同製品は、内蔵する3Dスキャナーで背部の体表面を3方向から撮影することで、体表面の3次元構造を測定する技術を活用。取得した3次元データをもとに鮮明な等高線を表示できる。専用の記録装置や暗室を必要とせず、機器操作も簡単な仕様になっており、X線を用いず被験者の負担を軽減している。
脊柱側弯症は、脊柱が捻れて側方や前後方に弯曲し変形する疾患。小学校高学年から中学時代に発症し、重症化すると呼吸機能障害等による生命予後への影響が危惧されることから、1973年から学校検診が義務化されている。
背部を専用機器で撮影し、背部肋骨隆起の左右非対称のひずみを等高線として描出することで評価する「モアレ法」が用いられているが、従来機器は既に販売中止の状態にある。現在、評価のバラツキが多いとされる視診・触診によるものが主流で、初期症状を見逃す事例も報告されている。