服薬指導時に活躍するツール
調剤薬局の日々の業務では、耳の遠い高齢者への服薬指導において、つい声が大きくなり、理解してもらえるか不安になるケースも多い。こうした不安を解消するツールとして注目されているのが、骨伝導ヘッドホン製品を手がける日本コンピュータ・ダイナミクスが販売している「集音器付き骨伝導ヘッドホンDenDen」(デンデン)である。
難聴は、認知症につながる大きな要因の一つとされており、難聴によってコミュニケーションがうまくいかなくなると、音の刺激や脳に伝えられる情報量が少なくなり、家族や社会から孤立しやすい。
また、老眼などと違い、本人が自覚しにくく、耳が遠くなったと感じても「今までそれほど不便しなかったから大丈夫」と放置されやすいことから、同社は「患者さんの生活の質を維持する上でも、耳に関する商品を提案することが求められる」との考えを示す。
実際に、DenDenは現在、約550件超の調剤薬局、家電量販店で導入・販売されている。主な活用方法としては、聞こえに不安のある来局者への服薬指導時に、薬剤師が胸元に集音器を付け、来局者に骨伝導ヘッドホンをかけた状態で会話するというもので、これによりしっかりと薬剤師の声を届けることが可能となる。
大きな声を出さずに会話することができるため、来局者の満足度向上にもつなげることが可能である。
ただ、全ての難聴者に効果があるわけではなく、蝸牛や聴神経といった内耳の異常が原因となる感音難聴については、音の電気信号が脳に伝わらないため、骨伝導でも伝わらない場合が多いという。
一方、導入店舗では、「聞こえに不安のある方はお声がけください」などの案内表示と合わせて置くことで、患者からの声かけを促す工夫を行っている。個人情報やプライバシーの保護に配慮した対応や、サービスの質の向上が求められる調剤薬局において、有効なコミュニケーションツールとして活用できる製品と言えよう。
薬局店頭での販売も行っており、メーカー担当者は「補聴器は高価で手が出しにくい、常に付けているのが煩わしいと考えるユーザーが、定価1万4800円という手頃な価格で購入できるDenDenを手に取るケースが増えている」と話す。
同社は、家族との会話やテレビを見る時など、主に室内でのDenDenの活用も促している。ユーザーの中には、補聴器を付けている人でも、テレビを見る時だけDenDenを活用するユーザーもいるという。
日本コンピュータ・ダイナミクス(DenDen)
http://www.ecostation21.com/denden/