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【遠言近言】雑感「礼儀、作法、品性」を考える‐星恵子

2006年7月18日 (火)

星恵子(昭和薬科大学教授)

心穏やかで豊かな生活を

 昨今、電車に乗っていると、周囲がどう思うか一向にお構いなく、大きな鏡を取り出して、眉を描いたり睫毛をカールさせたり、化粧をする女性をよく見かけます。美しく見せたいという思いから化粧をするのでしょうが、人前で化粧をする行為自体は、決して美しくありません。そこに矛盾を感じるのですが、そういうと、特定の人にだけ美しく見せたいと言われてしまうのでしょう。

 大学での授業。まずは「おはよう!」の挨拶。次に、「机の上にあるペットボトルや食べ物を片付けて下さい!」と、前置きが必要です。授業中、トイレに行く人もいます(どこへ行くか聞いたことはないが、携帯電話ではなかろう)。我々が学生の頃は授業が終わるまで我慢していましたが、生理現象という名の下に、“授業中は席を立たない“と言うのが憚れます。

 薬学では4年生になると、各研究室に配属されます。ある男子学生が、耳にはきらりと光るピアスをつけ、膝の上下に引き裂かれたような穴のあるジーパンをはいて研究室にやってきました。「そのジーパン、ファッションかもしれないけれど、少し前までは、お母さんは夜なべをして、繕い物をしていたのよ。それに、薬学生としての品性が疑われると思わない?」と、話しました。“薬学生としての品性”、“お母さんが繕い物をしていた”というフレーズが、どうも心に響いたらしく、後日、「あのジーパンはもう、はきません。」という。

 日頃、コンビニエンス・ストアが気になっています。24時間営業のところもあり、名前に違わず利用者にとっては便利です。これで生計を立てている人も多いと思いますが、特に若者にとっては弊害があるように思われます。夜中でも、食べ物、雑誌何でも手に入ります。しかし、これこれこうすれば、こうなるから、前もってこうしておこうと、順序だてて物事を考え進めていこうとする発想が自然にそがれていき、場当たり的になってしまうのではないかと危惧されます。言い換えれば、便利さを追求するあまり、何事にも我慢することを体験しないまま、あるいは、考えたり工夫したりしないまま大きくなり、それらが高じると、さまざまな事件へと結びついていくような気がしてなりません。多少不便でも、心穏やかで豊かな生活が送れるようにならないものかと、改めて思います。

 今回で担当させていただきましたコラムを終えます。拙文でしたが、読んでいただいた方々に感謝申し上げます。




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