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推計に当たっての前提条件を議論
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政府の社会保障国民会議は9日、医療・介護・福祉について検討する「サービス保障分科会」(座長:大森彌東京大学名誉教授)の第7回会合を開き、医療・介護給付費の将来推計を行う上での具体的な前提条件について議論した。2025年の医療・介護費用の推計に当たって、前提条件に高齢化による需要増に加え、経済成長と医療・介護費の伸び、技術革新・効率化の影響を織り込む方針を決めた。これを基本に、三つの改革ケースを想定し、それぞれで推計作業を行う。効率化の一つとして、後発医薬品の使用促進などによる中長期的な効果が盛り込まれ、10月の最終報告が注目される。
前提条件は、6月の中間報告で示された「選択と集中」の考え方に基づき、効率化すべき部分は思い切って効率化する一方、資源を集中投入すべきものには思い切った投入を行うという基本認識がベースとなっている。
さらに厚生労働省が昨年5月に策定した医療・介護サービスの質向上・効率化プログラムに盛り込まれている、平均在院日数の短縮や生活習慣病予防対策、介護予防などを行い、必要なサービスの確保と質の維持を図りつつ、効率化により供給コストを低減させることを前提に需要を設定する。
ただ、この中では、12年度までに数量ベースで30%の政府目標が掲げられている、後発医薬品の使用促進が達成されることを予め見込んだ上で、医療費全体(33034兆円)でマイナス0・200・3%の効果が図れることを前提とした試算が行われることになっている。12年度以降も薬剤や医療機器で0・1%分の効率化が図れると見込んでおり、10月の最終報告で、どのような推計が示されるかが注目される。
このほか推計では、医師とコメディカルの業務分担などによる効率化も行った上で、今後の経済成長率や技術革新など医療費全体の伸び、高齢化の進展による需要増なども踏まえ、試算を行うことになった。
オブザーバーとして参加した社会保障国民会議の吉川洋座長(東京大学大学院教授)は、「試算は実現可能なものにしていく必要がある」とした上で、「あるべき姿がどれだけ将来推計に反映されるかが重要になる」とした。
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