中央社会保険医療協議会薬価専門部会(部会長:前田雅英首都大学東京教授)が17日に開かれ、製薬業界が提案した薬価維持特例の導入をめぐって、厚生労働省は、これまでの議論の整理と今後の論点をまとめた論点整理案を提示した。
業界案の検討を進めるための今後の論点整理では、▽薬価維持特例導入のメリット▽財政への影響▽流通改善――を挙げた。
このうち、財政影響については、薬価維持特例を導入した当初に膨らむ薬剤費の財源確保をはじめ、薬剤費の上昇を抑えるために必要な後発品の使用促進を着実に進める方策、それが進まない場合の対応策も検討する。
薬価維持特例導入のメリットでは、薬価が維持されることにより、メーカーが前倒しで得られる収入を、新薬の創出や未承認薬の開発促進のための研究開発投資へ、確実に振り向ける方策を検討する。これにより、患者・国民から要望の強いドラッグラグの解消、世界に先駆けた新薬の提供、適応外使用への対応、小児用量の設定などにつなげていく方策を検討する。
流通改善では、総価取引など医薬品流通慣行の改善と薬価維持特例との関係を検討する。
業界が提案する薬価維持特例を導入し、新薬に対する経済的インセンティブを高め、国際競争力を持つ国内製薬企業を育てることについて、委員の理解は進んだものの、意見交換では、薬価維持特例で薬価水準が引き上がることによる財政影響に意見が集中。薬剤費が膨らめば患者の負担増につながるため、「制度導入のメリットを、国民や患者に分かりやすく説明する」ことを求める意見が多く出された。