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“一本、線の通った”対応が必要

2009年1月7日 (水)

 2009年を迎えた。新年を迎えて、気分を一新といきたいが、何か心に引っかかるものがある。

 昨年の年始めの社説で、今年は「人間力が試される年」とした。それは、新たな医療提供体制や高齢者医療制度がスタートし、今までの病院完結型から地域完結型医療への転換が始まり、さらに、新医薬品販売制度の具体化を目指す最終準備が進められるなど、まさに「新しい医薬時代」の幕開けだったからにほかならない。

 しかし現実はどうだったか。まずは、政府方針で医療費抑制策が長年続いたことにより、医師不足・診療科偏在、さらには地域医療の崩壊が叫ばれる中、昨年の後半には妊婦の救急医療でたらい回しが社会問題になるなど、地域完結型医療の先行きは不安が募るばかりだ。

 厚生労働省や文部科学省の2009年度予算案では、医師確保対策を重点施策とし、病院勤務医や産科医、大学病院の機能強化に取り組むことにしているが、どこまで効果があるのか疑問が残る。

 また、後期高齢者医療制度はスタート直後から、名称が悪いなどの声が上がり、「長寿医療制度」に代えられたが、医療保険料の年金からの天引き、今まで保険料を支払っていなかった被保険者にまで支払いが及んだこと等々の問題が発生、廃止かこのまま続けるのかのドタバタ劇が展開された。

 これら問題への政府の対応を見ると、何とも“泥縄”式の観が拭えない。麻生政権誕生にもそうした面がうかがえるし、その後の政権運営も見るに耐えない状態だ。基本となる一本の線が抜け、クラゲのように海に漂っているように映ってしまう。とても「人間力」が見える年ではなかった。

 一方、医薬品業界を見ると、今年は診療報酬・調剤報酬改定、薬価制度改革の議論の年となる。薬価制度改革については、「薬価維持特例」を柱とした業界案をベースに議論が展開されることになる。しかし、特例期間が終わればジェネリック(GE)薬に本当に転換できるのか、特例期間に得た利益が医薬品開発に投入されるのか等々、業界側に投げかけられている課題も多い。

 また、GE薬使用促進に関しては、昨年の診療報酬改定で薬剤師が大きな役割を担うことになった。しかし、各種調査を見る限り、薬剤師自らが積極的に取り組んでいる姿勢はうかがえない。このような状況では、今年の改定議論で槍玉に挙げられることは確実だ。今からでは遅いかもしれないが、日本薬剤師会は一本線が通った取り組み姿勢を、世間に対して見せる必要があるのではないか。

 さらに、6月から始まる一般薬の新販売制度では昨年、インターネット販売にまつわる問題が取り上げられた。そもそも今回の改正薬事法は、“店”に薬剤師がいなくても一般薬が販売されている実態が明らかとなり、厚労省が“対面販売”の原則を掲げて、テレビ電話活用などの場当たり的対応をやめるために行われたものだ。

 新販売体制は、薬剤師以外に登録販売者という新たな専門家を創出し、“国民の安全確保”“対面販売の原則”を貫いた結果として生み出された。ネット販売議論は、その根底を崩すものだ。新制度は当初案通り粛々とスタートさせ、ネット販売議論は“無店舗販売”のあり方として、別途議論を進める必要がある。泥縄式の対応はとってほしくない。

 今年は必ず総選挙が行われる。いずれの業界でもそうだが、一時の感情は捨て、“一本線の通った”考えが求められているのではないか。




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