新型コロナウイルスのワクチン接種が実施されている一方で、感染拡大による影響は未だに収束の兆しが見えにくい状況が続いている。日本国内で初めて感染者が確認されてから約1年半が経過。変異型ウイルスの拡大などもあり、ウイルスとの戦いは長丁場の様相を呈しており、“ウィズ・コロナ”などというように、新型コロナウイルスと付き合いながら生活していくスタイルが、各方面で模索・実行されている。
そうしたコロナ禍において、ドラッグストアは非常に高い支持を得ている。医薬品や衛生用品、食品など生活必需品の安定供給に努めるなどした結果、地域の生活者等からの信頼を得ているが、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)のドラッグストア業界研究レポートによると、各種調査でもドラッグストアは生活者から高い支持を受けており、全体としての業績にもその影響が顕著に表れている。
今春発表されたJACDSによる2020年度版実態調査の結果を見ると、ドラッグストアの総売上高は初めて8兆円を突破し、8兆0363億円に達した。前年より3504億円の増加で、伸び率は4.6%増となっている。16年度以降、5%前後の伸びを維持しており、10兆円市場への到達が間近に迫っている。さらには“40年20兆円市場”の構築も視野に入れるなど、ドラッグストア市場は目標に向かって着実に歩みを進めていると言えよう。
個別のドラッグストア企業の業績に目を移すと、前期は市場全体と同様に好調な業績を挙げている企業がある一方、伸び悩んでいる企業もあり、明暗が分かれた形となった。
具体的には、インバウンド需要の消失などで需要が減少した化粧品を中心に販売する店舗等が多い企業は苦戦したようだ。郊外型などの店舗が多い企業はマスクなどの衛生用品に加え、巣ごもり消費に対応した食品の売上も大きく伸ばしている。
そして今期については、いよいよ売上高が1兆円に到達するドラッグストア企業の誕生も現実味を帯びてきた。業界最大手のウエルシアホールディングスは今期(22年2月期)の売上高として、1兆0210億円との見込みを示している。ツルハホールディングスも今期(22年5月期)の売上高は9560億円を見込んでおり、1兆円に迫る。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響はまだまだ続くと見られるが、ドラッグストア市場には継続した高い伸びが期待される。衛生関連商品等の供給に加えて、調剤事業への進出拡大、食品の取り扱い拡大などにも取り組む姿勢は、地域における存在価値をさらに高め、その地域に暮らす生活者からの信頼を確固たるものにしていくだろう。
それが、ドラッグストアのさらなる成長へつながっていくことになるのだと思う。