第54回日本薬剤師会学術大会
新型コロナウイルス感染症の予防接種加速には薬剤師の協力が必要不可欠となっている。集団接種会場で主に薬液充填・接種補助などの業務に奮闘するほか、予診・接種のみならず接種後の状態観察、検温や受付・記録などの業務についても市町村ごとの事情・状況を踏まえ、各地域の医師会や病院薬剤師会などと連携を進めている。
福岡県薬剤師会でもワクチン接種体制構築に協力を行ってきた。8月末で全国の新型コロナウイルス感染症ワクチンの総接種回数は約1億2400万回となり、2回接種完了者は4割を超えているが、福岡県内でも4割近くが2回接種を完了している。
福岡市内にある集団接種会場でも多くの薬剤師が希釈・充填などの作業に参加した。ファイザー製ワクチンでは、ワクチンを生理食塩水で希釈し、薬液を1人分ずつシリンジに調製していく。こうした作業を何度も繰り返す。
厚生労働省の検討会で薬剤師はワクチンの打ち手としては当面見送りとなり、ワクチン調製や予診のサポート、接種後の経過観察などを担うとされた。厚労省は安全で迅速なワクチン接種体制を構築していくためには、ワクチン接種の担い手を確保することよりも、予診のサポートやワクチン調製などの業務を担う人材を確保することが先決との認識を示している。薬剤師の専門性を生かせる場面で大きな貢献を果たしている。
手順書に基づき調製作業‐各工程を全てダブルチェック
ワクチン接種会場で薬剤師が希釈・充填等の調製作業を適正に実施するために、それぞれの会場に則した手順書・チェックリストを作成し、定めた手順から逸脱した作業を行わないよう運用している。複数人によるダブルチェックを必ず行い、適正な調製を行うようにしている。
調製前には、温度管理を適切に行うこと、ワクチン原液の数量管理を実施する。調製作業時には必要な希釈用生理食塩液、シリンジ、針、トレイ、アルコール綿などの資材が、正しいものが必要数用意されているか複数人で確認し、調製者自身が確認しながら作業を行うと共に、各工程の作業開始前、および作業終了時のタイミングで、必ず調製者以外の薬剤師がダブルチェックを行う。そして調製終了後には、使用期限を明確にし、適切に保管(温度、遮光)することとしている。
集団接種会場での薬液充填作業は、各区市町村薬剤師会が中心となり研修が実施された。