第54回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会理事
笠井秀一
福岡県薬剤師会常務理事
山口信也
昨年3月のCOVID-19パンデミック宣言後、薬剤師を取り巻く環境は大きく変わっている。コロナ禍における薬剤師の医療現場での役割は多岐にわたるが、重要な役割として、多くの情報の中から正しい情報を地域住民に正確に伝達することが挙げられる。そのためには医療従事者間の情報共有も重要になる。ワクチン接種が始まると、多くの情報が錯綜したため、ワクチンに対する疑問や不安の解消が薬剤師の大きな役割の一つとなった。
本分科会では薬剤師の役割と活動について、実際の取り組み事例をもとに情報共有と伝達について、今後の課題を考えながら議論する。
基調講演は「COVID-19禍から学ぶ今後の医療」と題して、DMATとして常にCOVID-19対策の最前線で活躍されている国立病院機構九州医療センターの野田英一郎センター長に福岡県独自の情報共有システムを通して、情報共有と協力体制構築の重要性について講演いただく。
続いて日本薬剤師会の磯部総一郎専務理事には、医薬品供給、薬局経営の財政支援、環境衛生など、薬剤師の役割と実際の活動について日本薬剤師会の取り組み事例を交えて説明していただく。
新型コロナウイルスワクチンについては2人からお話いただく。
最初に熊本県薬剤師会の富永孝治会長に、市町村で対応困難な専門的相談を受け付ける電話相談窓口を開設した経緯と、実際の相談内容などを話していただく。その中で今後実施すべき感染対策やその際に薬剤師および薬剤師会が適切にその役割を果たすために何が必要かということについても講演いただく。
最後は日本医薬品卸売業連合会業務システム委員会の古井直栄委員長に新型コロナワクチン供給における流通の現状と課題について、卸の立場から品質と安心安全を担保し、大規模なコールドチェーン(低温物流)を担っている現状と課題について講演いただく。
薬剤師の役割は、医療従事者として以外にも行政との調整役など新たな役割が増えてきている。情報共有をキーワードに今後の対応について討論したい。
(山口信也)