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予算の適正的確な執行を求む

2021年12月03日 (金)

 新型コロナウイルス感染症は新たな段階に突入した。アフリカ南部が発端と見られるオミクロン株が世界に広がり始めた。WHOや各国の科学者たちが、従来株よりも感染力が強い、既存ワクチンの効果が弱くなるなどの見解を発信しているが、現在までのところ明確なエビデンスは得られていない。変異株は、24あるギリシャ文字のアルファから始まり、15番目のオミクロンまで到達した。今後も変異を続けるとパイ、ロー、シグマと続いて、直にオメガで終了してしまう。ここまでの変異継続は想定外だろう。

 11月30日に初感染者が確認された日本は、水際対策として感染確認国を対象とした入国制限をかける予定だったが、同29日に岸田首相が全世界からの外国人の入国を当面1カ月間禁止する措置を発表し、翌30日から実行した。このスピード感には多くの日本国民も驚いたことだろう。経済面で懸念する声もあるが、過去の失政を反省し、国民の生命を最優先した感染防止の有効手段を執行したことは評価される。

 既報の通り、政府は同26日の臨時閣議で2021年度補正予算案を決定した。一般会計歳出では、[1]新型コロナウイルス感染症の拡大防止:18兆6059億円[2]「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え:1兆7687億円[3]未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動:8兆2532億円[4]防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保:2兆9349億円――の31兆5627億円を計上した。

 コロナ感染症の拡大防止では、医療提供体制の確保等に4兆4783億円、次なる危機への備えでは、ワクチン・治療薬の研究開発・生産体制の整備7355億円など感染症有事対応の抜本的強化に9351億円を投入する。厚生労働省関係では、拡大防止が8兆1832億円、うち緊急包括支援交付金等による支援2兆1033億円、ワクチン接種体制の確保等1兆3879億円など。次なる危機への備えでは感染症有事対応の抜本的強化として、新興感染症の治療薬等に関する研究開発等の推進に145億円、新型コロナウイルスワクチン開発支援に2562億円などが盛り込まれた。

 財務省は、同26日現在の21年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費5兆円の使用実績を公表した。それによると、新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金5000億円、ワクチンの確保5120億円、ワクチン接種の促進8415億円、適切な患者療養の確保(治療薬の確保等)2373億円などが使われ、予備費残額は1兆8343億円という。

 31兆円を超える巨額補正予算だが、計上しただけでは意味はない。掲げた全てのテーマに対して実効ある最大の成果が得られなければならない。これは国民・納税者が政府に求めることであり、実現に期待する。



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