日本薬剤師会会長 山本信夫
新年あけましておめでとうございます。昨年は国民生活が新型コロナウイルス感染症に翻弄された1年でした。昨年2月からスタートしたワクチン接種については、速やかに全ての国民が2回接種の完了を目指す国の方針のもと、各地の薬剤師が集団接種会場等で不足しがちなワクチンの打ち手を確保する観点から、協力を行いました。
提供されるワクチンの特性等を踏まえて、患者への接種前の問診やワクチンの注射筒への充填作業等を通じて、迅速な接種環境の確保に協力するなど、通常の業務に加えて「有事における薬剤師の活動」が進められた年でした。
また、感染者の急増に伴い、自宅あるいは施設等で療養を余儀なくされた地域の方々への、切れ目のない医薬品提供体制を維持し、地域住民への円滑な医薬品提供を通じて、地域医療への貢献も滞ることなく実施できたものと思います。
一方、改正薬機法は施行2年目を迎え、超高齢社会を見据えた薬剤師・薬局の新たな姿を目指す地域連携薬局・専門医療機関連携薬局という認定薬局制度がスタートしました。
昨年中の新たな認定薬局の認定数は決して多いとは言えませんが、目先の認定にとらわれることなく、地域住民の医薬品ニーズに即応可能な新たな概念に基づいた基本的機能を備えた薬局として、地域住民から確実な信頼が得られるよう本年は不断の努力が求められることになります。これまで以上にセルフケア・セルフメディケーションに積極的に取り組み「医薬品の安全は薬剤師が守る」という気概のもとで、OTC医薬品への積極的な対応や、地域の方々からの健康相談等に対応きる体制の構築が急務と考えています。そのためには、地域の医薬品提供体制の実情を踏まえ、地域住民のニーズの解決に向けて的確・適切な取り組みが不可欠であると考えます。
さらに、近年の規制改革の圧力は様々に形を変えながら、薬剤師業務の変革や規制緩和を求めています。医薬品の専門職を自他共に任ずる薬剤師としては、国が進めるICT化やデジタル化が薬剤師業務に大きな影響を与えることに臆することなく、「薬剤師の本質的な業務」について自ら再検討を加えることが求められています。
「薬剤師の本質的な業務」については自ら再検討を加え、国民・患者の医薬品に係る安全を守るために、「薬剤師の役割は何か」と言う基本的命題について将来のあり方を模索し、「真に薬剤師の輝ける年」を目指したいと思います。