日本OTC医薬品協会会長 上原明
2022年の年頭に当たり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。新型コロナウイルスの脅威は日本経済や日常生活に大きな影響を及ぼしてきました。OTC医薬品産業にも影響があり、例えば多くの製品カテゴリーで売上の変化があり、訪日外国人の減少によるインバウンド需要の激減なども見られました。
生活者に対しては、新しい生活様式への移行を強いてきましたが、自分の健康は自分のために自分で守るというセルフメディケーションの考え方を浸透させるという側面もありました。
当協会はかねてより、健康リテラシーの向上を通じたセルフメディケーションの推進を支援してきましたが、今年も様々な点から、セルフメディケーションが大きく進むと期待される1年と考えています。
セルフメディケーション税制に関しては、今年1月に税制範囲が拡大され、腰痛・関節痛・肩凝り、かぜの諸症状、アレルギーの諸症状の3薬効群が新たに対象に加わることとなりました。当協会では引き続き、税制の普及と利用拡大を図ると共に、医療経済的調査を実施することによって、新たに追加された薬効の医療費適正化効果や対象品目拡大の可能性検証を推進します。
スイッチOTCに関しては、昨年に「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」のあり方が見直され、各ステークホルダーが協力してスイッチOTCの課題の解決策を検討していく運用方針に生まれ変わりました。
当協会からは引き続き本会議に参画し、スイッチ化候補成分の特性をきちんと提供することによりスイッチOTC化の加速を支援していきます。
また、OTC医薬品の領域・範囲に関する一般原則の範囲を検討し、行政や関係団体との合意を目指します。これら検討を通じて、国民の治療の選択肢を増やすためのOTC医薬品の適用範囲拡大を進めていきます。
検査薬に関しては、昨年に特例措置ではありますが、新型コロナ抗原検査キットの店頭での販売が認められました。改めて一般用検査薬の役割が再認識されるきっかけになると考えられます。
現在、行政では血液を用いた検査薬や便潜血検査薬、インフルエンザ検査薬などについて、早期発見や予防、健康管理などの観点で市販化が検討されていますが、当協会からも行政や関係団体に働きかけ、様々な検査薬のOTC化を支援していきます。