オーガナイザー
岡田欣晃(阪大院薬)
鈴木亮(帝京大薬、帝京大先端総研)
血管は酸素や栄養を運搬するための単なる「チューブ」ではない。血管はその透過性をダイナミックに変化させることで、血液と臓器の間の物質や細胞の移動を制御し、生体恒常性の維持や病態の発現に寄与している。例えば、脳血管の透過性は他の臓器の血管より低く保たれており、脳を異物侵入から守る役割を担う。
一方で、感染症・炎症性疾患、癌においては、血管透過性の過剰な亢進が病態を悪化させる。このため血管透過性が調節される仕組みを理解し、その制御技術を開発すれば、新発想での疾患治療薬や薬物デリバリーが可能となる。
本シンポジウムでは、血管透過性制御分子の機能解析と制御薬開発への応用の研究、また、超音波やマイクロバブルを活用したユニークな透過性制御技術についての最新の知見を紹介する。血管透過性を標的とする新しい治療戦略が、感染症、炎症性疾患、脳疾患、癌など、多様な難治性疾患の治療への有用なアプローチとなり得ることを議論したい。
(岡田欣晃)