第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会常務理事
橋場元
宮城県薬剤師会
石田真也
2015年のWHO総会において「薬剤耐性に対するグローバル・アクション・プラン」が採択され、G7エルマウ・サミットでは、G7諸国が協調して薬剤耐性菌対策に取り組む方針が盛り込まれた。
日本でも、16年に5年間の薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが公表され、薬剤耐性菌の増加を防ぐために、「普及啓発・教育」「動向調査・監視」「感染予防・管理」「抗微生物剤の適正使用」「研究開発・創薬」「国際協力」の六つの分野で目標と具体的な取り組みが示された。さらに、昨年のG20リヤド財務相・保健相合同会議の共同声明においても、新たな抗菌薬の開発および抗菌薬の慎重な管理について、ワンヘルス・アプローチに基づいて推進していくと宣言された。
このように、AMR対策は全世界的な取り組みとして推進することが求められている。
本分科会ではわが国のAMR対策アクションプランを踏まえ、取り組まれてきたこと、成し遂げられたこと、さらなる課題などについて、行政、団体、医療現場それぞれの立場から多角的な視点でお話しいただく。
基調講演として厚生労働省健康局結核感染症課の長江翔平室長補佐からは、アクションプランの概略および国際社会の中での日本の取り組みや今後の展開等についてご講演いただく。
日本薬剤師会の堀越博一理事からは、昨年日薬で実施した全国の薬局を対象とした抗菌薬使用動向調査およびAMR対策への取り組みについてご講演いただく。
グラムスキー薬局の瀧藤重道管理薬剤師からは、「グラム染色」を用いた抗菌薬適正使用への関与をはじめとした薬局での取り組みについてご講演いただく。
三重大学病院の新居晶恵看護師長からは、市民に対するAMR対策の普及・啓発活動についての取り組みをご講演いただく。
新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックにより、感染症対策の重要性がさらにクローズアップされる中、各演者のご講演により、AMR対策の知見が深まり、薬剤師の役割についてさらにご理解いただくと共に、現場での実践につなげられる内容となっている。
(橋場元)