第55回日本薬剤師会学術大会
座長
仙台市薬剤師会副会長
高橋將喜
仙台市薬剤師会理事
矢尾板和弘
難病指定の疾病は1460ほどあるが、全難病患者数が少ないこともあり、その実態があまり世間では知られていない。薬剤師の多くも「難病患者さんや家族が薬剤師に求めている支援」や「薬剤師が難病患者さんや家族にできる支援」をほとんど分かっていないのが実情である。本分科会で難病のことを知り、薬局薬剤師は難病で苦しんでいる患者さんや家族へどのように接すれば良いのか。どのような支援ができるのか、などを考えるきっかけになれば良いと思う。また、本分科会に参加した先生方には、「難病と聞くと思わず引いてしまう」といった「難病に対する苦手意識」を克服し、ぜひ難病に取り組んでいただくことを期待している。
本分科会では4人の先生方に講演を依頼しているが、それぞれの講演概要を紹介する。
江崎治朗先生(厚生労働省健康局難病対策課)には、わが国の難病対策の歴史を振り返りつつ、指定難病患者への医療費助成制度や難病相談支援センターの枠組みの解説、難病・小慢対策の見直しに関する意見書(2021年7月、難病と小児慢性特定疾病の合同委員会作成)のエッセンスや全ゲノム解析等実行計画の進捗など、国における最新の動きについて話していただく。
青木正志先生(東北大学大学院医学系研究科神経内科学)には、1999年から開始されている医師・患者・行政が一体となった宮城県神経難病医療ネットワーク事業(宮城方式)の解説を通して、難病患者の療養体制確保には地域の様々な職種の関与が必要であることや筋萎縮性側索硬化症(ALS)と縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの治療薬開発の進捗について話していただく。
白江浩先生(社会福祉法人ありのまま舎)には、患者さんやその家族が実際にどのようなことに困っているか、薬剤師にどのような支援を期待しているかについて話していただく。
矢尾板和弘先生(仙台市薬剤師会難病患者とその家族をサポートするWG)には、薬局薬剤師は難病患者さんとその家族にどのような支援ができるのか、また支援するためには薬剤師としてあるいは地域薬剤師会としてどのような準備が必要なのかについて話していただく。
(高橋將喜)