第55回日本薬剤師会学術大会
第55回日本薬剤師会学術大会(大会運営委員長:山田卓郎宮城県薬剤師会会長)が9、10の両日、仙台市の仙台国際センターで開かれる。現地開催とウェブ配信によるハイブリッド方式で開催し、現地開催は2年ぶりとなる。宮城での学術大会は東日本大震災の影響で中止となった第44回学術大会から11年後の念願となる。震災復興を身近に感じる一大イベントになりそうだ。

会場の仙台国際センター(c)Aobayama Consortium
2011年3月11日の東日本大震災で宮城県内は甚大な被害を受け、宮城県薬会員も多く被災した。その年の学術大会開催地となっていたが、日薬は会員の生活再建を最優先し、やむなく大会中止を決定した。
震災から11年が経ち、念願の宮城大会開催となった。山田運営委員長は、「11年前の学術大会でできなかった東日本大震災からの復興をメインに据え、現地を見てもらうような学術大会にしたいと考えた。当時6000人近い薬剤師が宮城に支援に来ていただいたので、支援いただいた薬剤師には復興を遂げている宮城の姿を見ていただきたい」と語る。
今大会のテーマは、「結(ゆい)―地域と共に未来へ」に設定した。全国から宮城に駆けつけた支援薬剤師の活躍により、災害医療における薬剤師の重要性が認識されるようになり、東日本大震災の経験を通じて、これまで関係性があまりない人たちや異なる職種、地域の人たちとのつながりや、そこから生まれる強い結びつきを得ることができた。薬剤師と行政、多職種、地域住民がチームとなって地域の未来を創り上げていく結束の思いを表現した。
特別記念講演、三つの特別講演、20の分科会、11のランチョンセミナー、24の口頭発表などが予定されている。特別記念講演には、賀来満夫氏(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授)が「新型コロナウイルス感染症が我々にもたらしたもの―現状と今後」をテーマに登壇。賀来氏は、新型コロナウイルスに対し、総合的・効果的に対応していくためには、今大会のテーマでもある結(ゆい)ネットワークの構築が重要なキーワードとの考えを示している。
特別講演は、田上佑輔氏(医療法人社団やまと理事長)が「おかえりモネから学ぶこれからの地域医療」、平塚真弘氏(東北大学大学院薬学研究科准教授/東北大学東北メディカル・メガバンク機構)が「一般住民バイオバンクを活用したファーマコゲノミクス研究と個別化薬物療法への応用」、井上彰氏(東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野教授)が「『診断時からの緩和ケア』における薬剤師の役割」を講演する。
分科会では、医療DX、AMR、災害医療、新型コロナウイルス対応、セルフメディケーションなど薬剤師にとって重要なテーマを取り扱い、議論が行われる。
また、2日目の午前には日薬の山本信夫会長による会長講演を企画しているほか、薬学生シンポジウム、スイーツセミナーなども行われる予定だ。懇親会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった。
参加者は現地参加が5500人、ウェブ参加が2500人の合計8000人を計画している。新型コロナウイルス感染症対策として、現地参加者にマスク着用を求め、施設各所に消毒用アルコールを設置する。
【主催】日本薬剤師会、宮城県薬剤師会
【会期】9日(日)、10日(月・祝)
【大会ホームページ】https://site2.convention.co.jp/jpa55/index.html