日本医師会、日本薬剤師会など医療関係40団体で構成する国民医療推進協議会(会長:原中勝征日医会長)は9日、東京駒込の日本医師会館で総決起大会を開き、政府が導入を検討している受診時定額負担と、経済連携協定(TPP)交渉で医療保険を対象にすることに反対する決議を採択した。会場には同協議会に賛同する与野党議員も詰めかけ、「頑張ろう」のコールで皆保険の堅持を誓った。
原中会長は冒頭のあいさつで、「患者負担は3割が限度だったはず」と指摘し、外来受診のたびに患者から100円程度を、通常3割の定率負担に上乗せして徴収する受診時定額負担について、高額療養費制度の見直し財源を確保するためであっても「患者からこれ以上お金をとることは間違っている」と批判した。TPPについては、「医療には手を付けないということで交渉してもらいたい」と述べた。
また、協議会副会長の児玉孝日薬会長が決意表明を行い、「患者はこの不景気で何とか3割負担を凌いでいる。これから安心して医療にかかれるのか」と問題提起し、TPPをめぐっては「保険からの医薬品外しにつながる危険性をはらんでいる」と主張した。
決議は、東日本大震災を踏まえ「このような時こそ、明日の安心を約束する持続可能な社会保障体制を守ることが必要」とし、「今、患者にさらなる負担を求める受診時定額負担の導入を進める動きがある」と牽制。TPPの対象に医療保険制度が含まれた場合には「医療の市場化を招く事態が強く懸念される」とし、「いずれもわが国の優れた公的医療保険制度を崩壊へと導くもの」と批判した。
その上で「だれもが等しく医療を受けられる国民皆保険を断固守り続けていく」と約束した。
なお、同協議会は受診時定額負担に反対する署名を773万人分集め、衆参両院議長に陳情するなどの活動を展開している。