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人智と技術を尽くし災害対応を

2017年7月14日 (金)

 地球上でこれほど災害が頻発する国もあるまい。九州北部を襲った記録的な豪雨は、山肌をそぎ落とし、数え切れない流木と土砂が多くの命を呑み込んだ。報道によると、亡くなった方の中には、出産のため里帰りしていた母子と祖母の女性3人が含まれているが、母親のお腹には生まれてくるはずだった命もいたという。亡くなられた人たちには、それぞれが送っていた人生があったが、無残にも断ち切られてしまった。

 今回の豪雨に限らず、日本で大震災や津波、台風などの災害で亡くなる人は尋常な数ではない。数千年にわたって八百万もの神々を信じ、6世紀からは仏も信じ、十数万もの神社仏閣を建立し詣でて祈りを捧げているのに、神も仏もないとはこのことだ。

 だが、嘆いているだけでは行方不明者を探せないし、インフラの復旧・復興は進まず、元に近いような生活も取り戻せない。総力を挙げたできる限りの対応が求められるが、しつこく降り続く激しい大雨の中では、二次災害発生の観点から自衛隊のヘリコプターですら飛べない状況だった。

 行政、医療関係としてはまず、助かった人たちの健康問題が最優先になる。

 医薬品の供給に関しては、東日本大震災の教訓を踏まえたモバイルファーマシーの配置・運用も全国に広がりつつあるようだ。熊本地震では、その役割を見事に果たしたことは記憶に新しい。

 被災地の医療現場に、医薬品を届ける最新の技術として注目を集めているのがドローンである。いろいろな企業が試行している段階だが、実用化できれば、陥没・水没などで寸断されたり、瓦礫で道が塞がれたときでも、空中を飛んで必要な薬を届けられることが期待できる。これまで想像もしなかったGPS無人飛行という医薬品搬送の新しいルートが、技術革新によって生み出される。

 ドローンによる医薬品搬送の実証実験が6月29日、仙台市で行われた。1978年の宮城県沖地震発生日である6月12日の仙台市総合防災訓練では、アクシデントでドローンが離陸できず失敗してしまった。新しい挑戦に失敗はつきものだが、再度のチャレンジで実証実験は成功したようである。

 宮城県医薬品卸組合の鈴木三尚理事長は、今回の実験成功について、「医薬品供給の新たな選択肢が生まれたことは画期的だと考えているが、まだ実証実験段階であるので実用化に向けて引き続き検討していきたい」とコメントしている。

 災害大国日本。数多の経験から、決して自然を甘く見てはいないが、時が経つと人間は忘れてしまう。被災することに慣れてはならない。多くの人命と引き換えに得た貴重な教訓をムダにしてはならない。天災・人災の発生に備え、考え得る全ての知恵を絞り、日進月歩の先進技術を駆使して、準備万端整えておくことが求められている。




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