TOP > HEADLINE NEWS ∨ 

整理された水陸両用医薬品‐11品目は3年以内に本格見直し

2009年03月02日 (月)
関連検索: 水陸両用医薬品

消費者向けの効能など整備

 6月から施行される薬事制度の改革では、医薬品のネット販売などに関心が集まっているが、これまで制度を運用してきた中で、不透明と指摘されてきた部分の見直しも、粛々と進められている。その一つが、医療用医薬品と一般用医薬品の“どっちつかず”という性格を持つ「水陸両用医薬品」の整理だ。水陸両用薬として残されていた41品目について、効能効果や用法用量の記載を一般用にふさわしい表現に整備し、昨年秋に開かれた薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会の了承を得た上で、一部変更承認が行われた。ただし今回の一変承認では、引き続き水陸両用で用いられる11品目に関して、販売名を区別するなどの措置はとっておらず、3年以内に改めて見直すことになっている。

改正薬事法に伴う緊急措置

 医療用薬と一般用薬の区分がなされたのは、1967年10月1日から実施された製造承認に関する基本方針である。水陸両用医薬品とは、基本方針以前に承認された医薬品で、薬価基準に収載され、医療用薬として用いられながら、承認書の備考欄に「一般用」の記載がないため、薬局でも一般向けに販売されてきたものを指す。効能効果や用法用量は、医師や薬剤師など医療関係者向けの表現で記載されている。

 2005年4月の改正薬事法施行により、水陸両用薬の多くは処方せん医薬品に指定され、医療用薬として取り扱われることが明確化された。しかし一部は処方せん薬の指定要件から外れ、それらが水陸両用薬として残された。6月に施行される改正薬事法では、水陸両用薬は「薬局医薬品」のカテゴリーに含まれるため、薬局は引き続き販売することが可能だが、効能等を整備しない限り、店舗販売業は販売できなくなる。

 そこで厚生労働省医薬食品局審査管理課は、効能効果や用法用量等の表現を、一般用薬として適切なものに変更するため、昨年8月1日付で通知を発出した。通知では、[1]過去3年間に、一般薬として製造販売された実績がある[2]基本方針以前に承認された医薬品等で、承認書の備考欄に一般用と記載されていない[3]医薬部外品に該当しない――医薬品について、「一般の人が自ら判断できる症状、用法」「既承認医薬品の効能効果等の範囲」という考え方に基づき、効能効果や用法用量を一般薬にふさわしい内容に整備するとし、企業に一部変更承認を申請するよう求めた。

 水陸両用薬のうち、▽今後は一般用薬としてのみ販売するものは、一般用薬として効能効果等の一変を申請する▽引き続き一般用薬だけでなく、医療用薬としても製造販売するものは、医療用薬の効能効果等に加え、一般用薬としての効能効果も追記する一変申請を行う――こととした。

一部変更申請41品目を承認

 この結果、全部で41品目の申請がなされた。内訳は、引き続き水陸両用で製造販売するものが11品目であり、残り30品目は一般用薬として申請された。製剤別では、漢方・生薬製剤が19品目、皮膚外用剤が16品目(うち抗生物質+ステロイドが6品目、抗生物質が4品目)、その他が6品目となっている。

 企業からの申請を踏まえ、法改正に伴う緊急的な措置であるということを前提に、既承認の内容を読み替えて一般用薬にはない表現の削除、服用時間の追加などを行い、効能効果等も専門家の意見を聞きながら、既存の一般用薬で用いられている範囲内で、変更案が作成された。効能効果等の見直し案は、昨年11月29日の薬食審一般薬部会で了承され、その後に41品目の一部変更承認が行われた。

 41品目のうち、引き続き医療用と一般用が併用される11品目については、3年以内に医療用と一般用の承認書を分け、改めて販売名、規格、試験法などを整備するなど、本格的見直しが行われることになっている。

 水陸両用薬が6月から、店舗販売業でいきなり販売が禁止されれば、現場が混乱することは避けられない。今回の措置は、これまで一般用医薬品として流通し、安全性等の面でも特段の問題が生じていないことを踏まえ、生活者が困ることがないようにという視点から、行政、メーカー、販売関係者らが知恵を出し合った結果である。改正薬事法の施行に伴う緊急措置ではあるが、これまで不透明と指摘されてきた水陸両用薬が、40年余を経て解決のメドが立った意義は大きい。

関連検索: 水陸両用医薬品


‐AD‐

同じカテゴリーの新着記事

薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 募集はグッピー
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術