アステラス製薬は2月27日、買収提案を拒否していた米バイオ企業「CVセラピューティクス」に対し、1株当たり16ドルの現金で株式公開買い付け(TOB)を開始すると発表した。買収総額は約11億ドル(約1070億円)に達する見込みで、アステラスとCVセラピューティクスの攻防は、敵対的買収に発展した。
アステラスは昨年11月14日、米国市場における循環器領域の強化を目的に、狭心症治療薬「ラネクサ」など心疾患系薬の開発に特化するCVセラピューティクスに買収を提案した。しかし、同社はこの提案を拒否し、実質的な協議を拒んでいた。
そのためアステラスは、1月27日に買収提案を公表。広く株主に理解を求める戦術に出たが、CVセラピューティクスの取締役会は「株主にとって最善の利益にはならない」と拒否する姿勢を示したことから、TOBによる敵対的買収に踏み切った。
これに伴い、アステラスは2日、CVセラピューティクスに対し、同社が変更した株主ライツプランをTOBに適用すること等の差し止め救済を求める訴訟を、米国デラウェア州衡平法裁判所に提起した。
提起した内容は、[1]アステラスが公表したTOBに対し、CVセラピューティクスの株主が応じることを防ぐため、同社が最近変更した株主ライツプランを適用すること[2]TOB提案が、2000年にアステラスUSホールディングとCVセラピューティクスが締結した契約条項に違反するという同社の主張を差し止めること‐‐の2点。TOBは、買い付け期間の延長がない限り、27日午前12時(米国東部時間)に終了する。