薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は、前立腺肥大症治療薬の「アボルブ」など5成分を審議。アボルブは新有効成分で新作用機序を持つことから、薬事分科会で審議されることになった。他の4成分については、分科会報告となる。また、降圧剤と高脂血症治療薬の2成分を配合した「カデュエット」を審議したが、配合の意味合いや名称変更の必要性などが指摘され、継続審議することとした。
「カデュエット配合錠1番~4番」(ファイザーが製造販売)の有効成分は、アムロジピンベシル酸塩/アトルバスタチンカルシウム水和物。降圧薬のカルシウム拮抗剤と高コレステロール血症治療薬のHMG-CoA阻害薬を配合した錠剤。既に海外では2004年1月に米国での承認され、71カ国で承認されているが、国内では初の申請。
部会での審議では、両剤を配合する意義や安全対策上の問題、それに名称をめぐっても一部委員から異議が出されたため、継続審議となった。次回部会では、厚生労働省が改めて「新医療用配合剤に関する考え方」について説明を行った上で審議する。
審議対象となった「アボルブカプセル0・5mg」(グラクソ・スミスクラインが製造販売)の有効成分はデュタステリド。前立腺肥大症の治療および進行抑制(前立腺容積の減少、症状の軽減、尿流の改善、急性尿閉のリスク減少及び外科的治療の必要性減少)を効能・効果とする。再審査期間は8年、原体・製剤ともに劇薬に指定される予定。
デュタステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換する酵素である5‐アルファ還元酵素のタイプ1とタイプ2の両方を抑制する。従来、前立腺肥大に対しては、抗アンドロゲン薬が用いられているが、中枢性の副作用として性機能の低下がみられた。同剤は抗アンドロゲン薬に比べ副作用は弱いとされる。85カ国で承認されている。
「エンブレル皮下注用25mg」(ワイスが製造販売)の有効成分は、エタネルセプト(遺伝子組み換え)。多関節に活動性を有する若年性突発性関節炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年、原体・製剤ともに劇薬。73カ国で承認されている。
「アズマネックスツイストヘラー100μg60吸入、同200μg60吸入」(シェリング・プラウが製造販売)の有効成分は、モメタゾンフランカルボン酸エステル。気管支喘息を効能・効果とする新投与経路医薬品(吸入剤)。既に軟膏とクリーム剤は承認されている。世界60カ国で承認。原体は劇薬、製剤は毒・劇薬に該当しない。再審査期間は6年。
「グロウジェクト注射用1・33mg、同注射用8mg、同BC注射用8mg」(日本ケミカルリサーチが製造販売)の有効成分は、成長ホルモンのソマトロピン(遺伝子組み換え)。成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。有効成分が同一の製品は既に4品目あり、再審査期間は、バイオ後続品に関する通知に基づき、2010年4月19日までの残余期間。原体、製剤ともに毒・劇薬に該当しない。
「プログラフカプセル0・5mg、同1mg、同5mg」(アステラス製薬が製造販売)の有効成分は、免疫抑制剤のタクロリムス水和物。難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎の治療(重症度は中等症~重症に限る)の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。従来はシクロスポリンが用いられてきたが、タクロリムスによる申請は国内外で初。再審査期間は4年、原体・製剤ともに劇薬。
糖尿病薬の一変を報告
また部会では、糖尿病治療薬の「メルビン錠250mg」(大日本住友製薬が製造販売)と「グリコラン錠250mg」(日本新薬が製造販売)について、効能・効果等の一変申請が報告され、了承された。
一変申請の内容は、2型糖尿病で[1]食事療法・運動療法のみ[2]食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用--のいずれかの治療で、十分な効果が得られない場合に用いることができるとするもの。61年に国内承認が得られた古い薬剤だが、70年代に入り米国で、類似薬「フェンホルミン」による死亡例が報告され、投与量を制限してきた経緯がある。今後、ファーストラインとしての使用が可能になる。