日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の2022年度ドラッグストア実態調査の結果によると、ドラッグストアの全国総店舗数は2万2084店舗で、前回の21年度調査よりも359店舗の増加となった。18年度調査で2万0228店舗と初めて2万店舗を超えて以降も、着実に店舗数を増加させている。狭小商圏化の進展やドミナントの強化など、大手企業による積極的な出店などが背景にあるように思う。ただ、企業数は減少傾向が続いており、「他業態を巻き込んだ競合激化による」との分析だ。
実態調査の開始時を振り返ると、00年度の総店舗数は1万1787店舗という状況であり、約20年という期間で2倍近くまで達したこととなる。これら店舗の規模を見ると、150坪から300坪の店舗が全体の45.5%を占めており、中心的な規模となっている。150坪超の店舗も全体の6割を超えてきており、増加を続けていることも近年の傾向と言えよう。
JACDSは、30年のドラッグストア店舗数予測も示している。30年時点で想定する総店舗数は3万5000店舗で、これは22年比161%という数字だ。3万5000店舗となった30年時点での1店舗当たりの人口は3300人と予測。日本の総人口の減少も予測される中、ドラッグストアにおける今後の出店ペースや店舗規模の大型化、あるいは小型化なども注目される。
一方、全国ドラッグストア売上高は8兆7134億円で、内訳は調剤・ヘルスケアが2兆8463億円、ビューティケアが1兆5729億円、ホームケアが1兆8878億円、フーズ・その他が2兆4064億円。カテゴリー別売上高構成比では、調剤・ヘルスケアが32.7%で3割を超え、フーズ・その他も27.6%にまで達した。
前年からの伸び率は2.0%増だったが、この数字はここ近年と比較すると減速しているという印象だ。JACDSは「急拡大した予防関連・在宅商品の販売増の反動や、不要不急の外出自粛による装い商品の買い控えの継続がカテゴリー別の売上推移に見て取れる」と指摘。「近年の高成長を牽引してきた調剤・ヘルスケアとフーズ・その他カテゴリーに関しても、絶対額が大きくなってきたことに伴い、成長率としては落ち着きが見られた結果」と分析している。
普通に考えれば、出店数や売上高を未来永劫にわたって伸ばし続けるのは至難の業である。今後は他業態とのますますの競争激化も避けられないだろう。こうした中で、JACDSおよびドラッグストア業界では、単なる出店数の増加や売上の増加だけでなく、店舗の中身、機能を充実させることへ目を向けている。30年、3万5000店となったドラッグストアの各店舗には、充実した中身、機能が備わっていることを期待したい。