富士フイルムは19日、手軽に持ち運べる携帯型X線撮影装置の新モデルを開発したと発表した。新モデルは、AI技術を活用して開発した、撮影時に患者のポジショニングを支援する機能を備えており、在宅医療のほか、山間部・離島など幅広いシーンで簡便なX線検査をサポートする。新モデルの国内での発売は2025年秋、海外での発売は26年度以降を予定している。
同社は、軽量・小型かつバッテリー内蔵で外部電源が不要な携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」(海外販売名:FDR Xair)を2018年に発売している。この装置は、これまでに70カ国以上で導入され、在宅医療に加え、山間部・離島などで広く使用されている。また、結核終息が重要な社会課題となっているアフリカや東南アジアなどでは、結核スクリーニング検査にも用いられている。
今回、世界的に医療現場の人手不足が深刻化する中、撮影時のポジショニングなどの検査ワークフローの効率化や、医療従事者の負担軽減に貢献する携帯型X線撮影装置の新モデルを開発した。
新モデルは、「CALNEO Xair」の特長はそのままに、AI技術を活用して開発した「X-ray Centering Navi」機能を新たに使用できるようになった。この機能は、搭載したカメラで撮影した画像から検査対象部位の撮影の中心位置を推定し、ライブビュー画像上に位置合わせ指標を重ねて表示させることで、限られたスペースでのポジショニングをサポートする。再撮像リスクの低減にも貢献が期待される。
さらに、角度調整可能なタッチパネルを搭載。操作者は、高い位置での臥位撮影でもパネルに表示された被検者の画像を確認しながら撮影が可能で、負担の少ない姿勢でパネルを確認できることに加え、撮影条件の設定や照射野ランプのオンオフなどもワンタッチで行えるなどの特長を有している。
同社は20日からの3日間、横浜市のパシフィコ横浜で開催される「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」に新モデルを参考展示する。
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