ペット保険で国内最大手のアニコム損害保険株式会社のグループ企業、アニコム先進医療研究所株式会社は、10月1日、獣医療分野への導入としては日本初となる手術支援ロボットなど最新鋭の医療機器を備えた「JARVISどうぶつ医療センターTokyo」(東京都港区港南2-13-37)を開院し、4日そのメディア向け内覧会を行った。

JARVISどうぶつ医療センターTokyoは、動物病院からの紹介に基づき、専門的な検査や二次診療を行う動物病院(犬猫専門)で、現在27名の獣医師がいる。最大の特徴は、設備が充実していること。手術支援ロボットはじめ、3テスラのMRI、320列マルチスライスCT、Cアーム型X線透視装置、人工心肺装置、超音波検査装置など人間の病院でも顔負けの機器類を備えている。このうち手術支援ロボットは、獣医療分野で日本初導入となるもので、東京工業大学(現東京科学大学)のベンチャー企業であるリバーフィールド株式会社が開発した「Saroa(サロア)」を採用している。Saroaこれは「世界初で始めて、「力覚」を再現することに成功した低侵襲外科手術用支援ロボット」だ。手術支援ロボットとして有名な「ダビンチ」は、先頃発売した第5世代からこのような力の入れ具合を感じることの出来る機能(ダビンチでは「フォースフィードバック機能」と言っている)を搭載している。
内覧会の後、アニコムホールディングスとリバーフィールドは、「獣医療領域における手術支援ロボットと関連AIの社会実装を加速するため、両社の強みを結集した戦略的提携関係の構築に向けて共同する」という共同声明を発表した。このあと会見に望んだアニコムホールディングス代表取締役の小森伸昭氏は、「犬や猫は同じものばかり食べさせられていることもあって0歳のときからすべてのがんが起きている。リバーフィールドと独占契約し、高度な医療を安価に提供する、獣医療の安心安全をリードしたい」と語った。また、リバーフィールド代表取締役社長の只野耕太郎氏は、「(手術支援ロボットにとどまらず)究極的には自動化を進めていくことに取り組みたい」と今後の方向性について語った。
続いてアニコム先進医療研究所代表取締役社長の堀江亮氏と獣医師で同社CMO(最高医療責任者)の田村勝利氏が会見し、堀江氏はロボット手術のメリットとして低侵襲であることを強調した。犬や猫は手術後に痛みがあっても鎮痛剤などは与えることが出来るが痛みを軽減するのは難しいのだという。田村氏は、JARVISどうぶつ医療センターTokyo開院の意義について、卒後教育に寄与する面が大きいと強調した。また3年前にできた国家資格「愛玩動物看護師」のレベルアアップ、ひいては獣医療教育の向上に繋がると語った。
手術支援ロボットは、人用の医療機器として厚生労働大臣承認を受けたものであるが、現時点では農林水産大臣承認を受けておらず、獣医師の裁量に基づく適用外使用となる。
なお、プレス資料には説明がなかったが、「JARVIS」は「Jorney with Anicom in Robotics and Various Intelligent Service」の略で、日本語に訳すと、「アニコムと共に歩むロボティクスと多様な知能サービスの世界」(DeepL翻訳)といったような意味。
写真左から堀江氏、小森氏、只野氏、田村氏
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