2026年度診療(調剤)報酬改定案に「医薬品の安定供給に資する体制に係る評価」が盛り込まれた。供給不安問題の改善を狙いとしているが、過度の値引き交渉を慎むことを求めるなど、薬価を守りたいメーカーと値引きを求める医療機関・薬局の間で挟撃される医薬品卸が担う医薬品流通の疲弊に、報酬サイドから手が打たれる。積年の課題であり、遅い対策ではあるが評価する。
背景にあるのは、後発品を中心とする供給不安問題だ。この中で医薬品が医療機関・薬局に届くまでの流通、医薬品卸の基本機能を損ないかねない事態が進行している。もっと早く手が打たれるべきであった。医薬品卸の基本機能の低下は、国民の生命・健康に悪影響を及ぼすからだ。
医薬品流通は国民皆保険制度における薬物治療を支え、大規模災害時に被災地に薬を届ける機能もある。その機能を担うのが医薬品卸である。
しかし、厚生労働省の試算では、後発品取引における流通不採算率は10.5%。背景には仕入原価と流通コストの上昇がある。日本医薬品卸売業連合会による医薬品卸7社のまとめでは、22年度と比べ24年度の仕入原価は2.2%、流通コストは15.7%、それぞれ増えていた。
流通現場で起きていることを業界関係者らによる政策集団のくすり未来塾が卸の事業経費の集計から分析した結果、配送減、拠点減、在庫減、人員減で対応していることが浮かび上がり「人件費圧縮と燃料費圧縮で、配送という基本業務が縮小」していた。流通コスト増を販売先に転嫁できない構造を指摘した。
労働組合の連合体のヘルスケア産業プラットフォームの調査では、流通コストの納入価反映について医療機関・薬局の理解が十分得られなかったとの回答は38%に上る。
この中で、流通改善の取り組み指針である厚労省の流通改善ガイドラインの改訂案がまとめられ、仕切価の設定と割戻し等のあり方について「医薬品の安定的な製造販売および供給に必要なコスト(物価水準等を考慮した人件費や流通コスト等)の実情も考慮しながら設定する」と明記された。
そして来年度の報酬改定案には、医療機関・薬局での安定供給に向けた追加的業務を評価するため「地域支援・医薬品供給対応体制加算」が新設され、算定の施設基準に「医薬品の価値や流通コストを無視した値引き交渉を慎む」、適正な在庫量を維持し、卸へ頻回配送、急配など「過度な依頼を慎む」とし、原則全品の「単品単価交渉とすること」も明記された。改訂指針案と合わせ技一本と言える。
問われるのは実効性だ。医療施設の業務負担に報いる点数設定と長年求められているメーカー、医薬品卸、医療施設の流通関係者一体となった流通改善への一層の取り組みが必要だ。十分な成果が確認されなければ、より厳しい対応が迫られるだろう。



















