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【薬剤師のスキルアップと生涯学習】薬学ゼミナール生涯学習センター

2016年07月25日 (月)

“モノから人”に照準

木暮氏

木暮氏

 薬学ゼミナール生涯学習センターは、国が推進する「かかりつけ薬剤師」「健康サポート薬局」の方向性から、薬剤師が臨床能力を身につけ、チーム医療で活躍できるよう診断から治療までの“トータルマネジメント”を意識した教育プログラムを提供している。薬剤師が多職種連携の中で、一人ひとりの患者を長期にわたって支えていくために、明日からの業務ですぐにできることを考えるという内容になっている。木暮喜久子センター長は、「地域包括ケアという流れの中で、“モノから人へ”と薬剤師評価がシフトする中、薬剤師として必要なスキルを身につけてもらいたい」と語った。

 「患者のための薬局ビジョン」で示されている「対物から対人へ」「立地から機能へ」の方針を踏まえ、今年4月の診療報酬改定ではかかりつけ薬剤師個人を評価する「かかりつけ薬剤師指導料」が導入された。患者が選択した、かかりつけ薬剤師が処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で、患者に対して服薬指導等を行うことを薬学管理料として評価するもの。

 もはや薬学的な知識だけでは、チーム医療に対応することは難しく、薬剤師も患者情報や臨床能力を持って服薬指導を行う時代に入っている。そこで 薬学ゼミナール生涯学習センターが提唱するのが、患者の病態、生活背景などを理解した上で薬物療法だけでなく職種の壁を越えた連携(スキルミックス)ができる「スキルミックス薬剤師」という薬剤師像だ。

 同センターが提供するプログラムは、薬剤師が臨床的視点から医療全般で患者にアドバイスできる能力の獲得を手助けする。例えば、ある患者の検査値が基準値よりも「高い」「低い」というワンポイントのデータだけで服薬指導・支援するのではなく、過去の検査値や患者の性格・ライフスタイルなどを加味して、未来を予測した服薬指導・支援を行うトータルマネジメントを意識した講座を導入した。

 都立駒込病院膠原病科医長の瀬戸口圭吾氏を招き、6月に「リウマチ治療トータルマネジメント」を開催。参加者は当初予定した200人を大幅に上回る400人に達するなど大盛況だった。瀬戸口氏からはリウマチ治療の変容とトレンド、リウマチ治療薬が選択されるまでの過程、リウマチ患者への服薬指導上の注意点が紹介された。

 かかりつけ薬剤師を見据え、薬剤師の行動変容にもつながっている。受講者からも「薬の作用やジェネリック薬のみを説明し投薬していた。今日の講座を受け、今後は患者さんの既往や併用薬にも着目して処方解析を行いたい」、「検査値データで考察するワークは直接医師に聞けなかったため、ポイントを解説いただき今後に活用できると感じた」と参加して良かったとの声が聞かれた。

 筑波大学医学医療系地域医療教育学教授の前野哲博氏を招き、7月に「糖尿病トータルマネジメント」、9月に「症候診断」、10月には「臨床ですぐ使えるフィジカルアセスメント」を開催。また、10月には筑波大学医学医療系地域医療教育学講師の吉本尚氏を招き、「総合診療を学ぶ~対物から対人へ~」と、多岐にわたる内容で生涯学習プログラムを実施していく。

 さらにその後は、薬剤師から次世代の地域医療を担うリーダーを養成していくためのノンテクニカルスキル講座を開設する構想もある。木暮氏は、「医療人には各職種のテクニカルスキルとともに、組織人として必要なノンテクニカルスキルも同時に求められる」と語る。ノンテクニカルスキルとは、コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメントスキル、業務プロセスの改善等であり、チーム医療で能力を発揮するためのスキルを育成し、地域医療の中で、組織と人を動かすことができる薬剤師を養成していきたい考えだ。

 木暮氏は、薬剤師国家試験予備校「薬ゼミ」の学長を務め、数多くの薬剤師を輩出してきた経験を持つが、若い薬剤師が医療分野で活躍するための仕組み構築が大きな課題と捉えている。「国家試験に合格し、大きな夢を持ってキャリアをスタートした若い薬剤師が、入社後その情熱が打ち砕かれるという話を多く耳にしてきた。われわれとしては若い薬剤師が、社会を変えるためのチャレンジを支援していきたい」と力強く語る。

薬学ゼミナール生涯学習センター
http://www.yakuzemi-shougai.jp/



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