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コロナ後へ感覚切り替えの時期

2023年03月31日 (金)

 明日から2023年度がスタートする。これまでの新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた3年間で定着した感のある「新しい生活様式」も含めて、良い意味でのアフターコロナ時代へと変化を遂げるきっかけになることを期待したい。

 新型コロナウイルス感染症の基本的な考え方は、既に固まっている。病原性が異なる変異株が出現することがない限り、5月8日から感染症法上の位置付けを現在の2類相当から5類に移行する。これに伴い、医療機関での患者数の報告も全数把握から定点把握へと移行する。

 マスク着用も今月13日から、「個人の判断が基本」との政府方針が示され、屋内外を問わず着脱を強いることがないよう配慮を求めた。それから2週間以上経過した現在、肌感覚ではあるものの、通勤途上などで見かけるうち9割ほどはマスクを着用している。5類に引き下げられるゴールデンウィーク明けまでこの状態が続くのだろうか。

 こうした環境変化の背景を受け、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードがこれまで提唱してきた「新しい生活様式」の抜本改正を行い、「新たな健康習慣」として、感染防止の五つの基本について見解が示された。

 内容は、▽体調不安や症状がある場合は、無理せず自宅療養また受診する▽その場に応じたマスクの着用や咳エチケットの実施▽換気、密集・密接・密閉(三密)の回避が引き続き有効▽手洗いを日常の生活習慣に▽適度な運動や食事で健やかな暮らしを――というものだ。

 感染症の流行が落ち着いていても流行状況に関心を持ち、自らを感染症から防ぐことが重要とのスタンスのようだ。敢えてこうした見解を示すことで、完全に収束していない感染症対策への気の緩みを引き締めようということだろう。

 一方、コロナ対策として積極的に推進してきたワクチン接種は、これまで1人最大5回まで実施してきたが、今後費用を全額国が負担する特例臨時接種の期間を来年3月末まで1年間延長することも決まった。

 厚生科学審議会の分科会は、接種対象者について、5歳以上の全員が秋冬(9月~12月)に1回、65歳以上や基礎疾患を有する人は春夏(5~8月)も含めた2回を提案している。

 今回の接種方針では、高齢者や基礎疾患を有する人以外は、医療従事者・介護従事者等を含め公的関与(接種勧奨・努力義務)から外れている。従来のワクチン接種が予防接種法上の努力義務だったことを踏まえると、このことが何を意図するかは不明だが、コロナ対策が変化していく兆しなのかもしれない。

 3年前と違い、コロナの経口治療薬も承認されている。コロナとの共生、そしてコロナ後の新しい時代に向け、医療関係者の多くも感覚を切り替えて臨む必要がある。



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