日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)では毎年、業界推計「日本のドラッグストア実態調査」を実施している。調査は2000年度から行われており、毎年同じ方法で調査を行うことで、日本のドラッグストア業態の変化を明らかにしてきた。
最近公表された22年度の結果速報の主な結果を見ると、全国総店舗数は2万2084店舗(381社)に到達し、前年度比で359店舗増となり、2万2000店舗を突破。全国総売上高(推定値)は8兆7134億円となった。前年度からの伸び率を見ると、2.0%増という状況になっている。
前年度からの伸び率については、近年は安定して5%前後の伸びを維持してきた。19年度が5.7%増、20年度が4.6%増、そして前回の21年度は6.3%増と大きな伸びを示してきた。これらの数字と比較すると、今回は伸び率が鈍化したとの見方もできる。
今回調査で、前年度からの伸び率が鈍化した要因の一つとして、JACDSは「フーズ・その他」カテゴリーの伸びが期待ほどではなかったことを挙げている。フーズカテゴリーの成長は近年、ドラッグストアの成長を牽引してきたと言える。実際、前回調査でも前年度からの伸び率は7.7%増という高い数字を示していたが、今回「フーズ・その他」カテゴリーの前年度からの伸び率は1.7%増にとどまっている。
前年度からの伸び率が鈍化したことで、ドラッグストア業界が常々掲げてきた目標である「2025年10兆円産業化」への影響も気になるところだが、JACDSは「中長期的な観点で掲げてきた数字(目標)であり、今回の伸び率が2.0%増と鈍化したからといって変わるものではない」との認識を強調している。
今回、伸び率鈍化の要因となったフーズだが、それ以外のカテゴリー別売上高については、「調剤・ヘルスケア」が前年度比4.2%増、「ビューティケア」が1.6%増、「ホームケア」が0.5%減となった。
前回の調査では前年割れした「ビューティケア」、今回調査で前年割れした「ホームケア」、それぞれの動向には注視が必要となるだろうが、今回も堅調だった「調剤・ヘルスケア」の今後に注目が集まる。
というのも、今回の「ヘルスケア・調剤」の集計数値の中に、まだ抗原検査キットなどの特例販売の数値等がほとんど盛り込まれていないからだ。JACDSは「抗原検査キット販売に関しては、かなり貢献する数字だと思っている。今回は含まれていないとすると、次回の伸びが顕著になるのではないか」との見方を示している。
次回調査では、それらの数字も明らかになると予想されるが、「2025年10兆円産業化」への道筋も明確になってくることを期待したい。