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産官学プラス民で難題へ挑め

2023年03月24日 (金)

 明日25日から28日までの4日間、札幌市の北海道大学で日本薬学会第143年会がリアルとオンラインのハイブリッドで開催される。今回のテーマは「ファーマサイエンス:つながる・つきぬける」であり、会頭講演、特別講演12題、教育講演、薬学会賞や奨励賞の受賞講演24題が予定されている。

 また、領域融合セッション9、国際交流シンポジウム6、企画シンポ3、一般シンポ62、大学院生・薬学生シンポ2、ランチョンセミナー16、キャリアデザインセミナー2のほか、217題の一般口頭発表、62題の一般ポスター発表も行われるなど、多彩なプログラムが用意されている。

 特に今回の特徴としては、特別講演とシンポで構成される「領域融合セッション」や、国際交流の活発化を目指した「次世代薬学アジアシンポジウム」が設けられていることが挙げられる。1880年に創設されて以来、143回の歴史を積み重ねてきた薬学会年会でも、常に新たな取り組みに挑戦を続ける姿勢を忘れないことに感心する。

 4年ぶりとなる現地開催では、コロナ禍で封印されてきた懇親会も予定されており、久しぶりの対面による交流が実現することになる。様々な団体・組織の会合について取材すると、やはり人と人が直接会っての交流が必要だと痛感しているという声を多く聞く。感染防止対策を怠らずに、以前のような交流が復活することを望む。

 意見・情報交換や議論の活性化は学会・団体活動の本分であるが、現在、単独領域内だけの取り組みでは出現してきた各種課題に対応できない状況になってしまった。

 医薬品産業でも、メーカー研究者の勘やひらめき、地道な努力で創薬してきた時代は終わりを告げ、膨大な量のデータを駆使してバイオ創薬、再生医療等製品創製の可能性を探るRWD、AIなどデジタルの活用が必須となった。

 官民一体、産官学連携など、いろいろな分野の人たちが同じ目標に向かって進む対応は以前から行われてきた。医薬品に関しては、世界的な組織としてDIAがある。DIAは、サリドマイド事件を端緒としてアメリカで1964年に設立された。設立当初はドラッグ・インフォメーション・アソシエイションの名の通り、医薬品の情報交換活動が主な目的であった。

 その後、医薬品から医療機器、再生医療等製品など広く医療用製品に活動範囲を拡大し、世界中で諸会議などの情報交換、教育(トレーニングコース)活動を展開している。DIAジャパンは94年に設立され、当局、企業、アカデミアの産官学メンバーが参加して活動している。

 医薬品開発でも産官学連携は重要だが、特に臨床試験を進めるためには国民、患者の参加は不可欠だ。産官学と民が一体となった挙国体制で、中核産業であるライフサイエンス産業の発展に挑戦する時が来た。



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