第56回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会常務理事
橋場元
和歌山県薬剤師会常務理事
徳田純一
2015年のWHO総会において「薬剤耐性に対するグローバル・アクション・プラン」が採択され、G7エルマウ・サミットでは、G7諸国が協調して薬剤耐性菌対策に取り組む方針が盛り込まれた。
日本では、16年に公表された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が4月に改訂され、薬剤耐性菌の増加を防ぐために、「普及啓発・教育」「動向調査・監視」「感染予防・管理」「抗微生物剤の適正使用」「研究開発・創薬」「国際協力」の六つの分野で、さらなる目標と具体的な取り組みが示された。
さらに、5月に開催されたG7広島サミットでは、「薬剤耐性(AMR)の世界的かつ急速な拡大を認識しつつ、24年のAMRに関する国連総会ハイレベル会合に向けて、抗菌薬の研究開発を加速させるためのプッシュ型およびプル型のインセンティブを探求し、実施すると共に、抗菌薬へのアクセスおよび抗菌薬を慎重かつ適切に使用するための管理を促進することに引き続きコミットする」と宣言された。
世界中で抗菌薬が薬効を示さない耐性菌群が急激に増大している状況であり、これを克服するためには、ワンヘルスアプローチの考えのもと、AMR対策は全世界的な取り組みとして推進することが求められている。
本分科会では、AMR対策の世界における取り組みの状況および改訂された「薬剤耐性対策アクションプラン2023-2027」についてご解説いただくと共に、AMR対策における薬局薬剤師の地域における役割、AMR対策につながる具体的な抗菌薬の選択および投与設計、そして、薬局において薬剤師ができるAMR対策の取り組み事例についてご講演いただく。
各演者のご講演により、AMR対策の知見が深まり、薬剤師の役割についてさらにご理解いただくと共に、現場での実践を推進するための一助となれば幸いである。
(橋場元)