GLP-1受容体作動薬が広く流行している米国において、同薬に関連した新たなリスクの報告に関する調査を米食品医薬品局(FDA)が進めている。FDAが1月2日に発表した有害事象報告システム(FAERS)の四半期報告書によると、GLP-1受容体作動薬であるオゼンピックおよびウゴービ(一般名セマグルチド)、マンジャロおよびZepbound(ゼップバウンド、一般名チルゼパチド)などに関連して報告された、自殺念慮、脱毛、誤嚥の症例について調査中だという。
こうした報告が誤報だったと判明する可能性もあるが、過去の調査に基づき、医薬品の添付文書の改訂、またはこの問題に関する追加調査をFDAは要求している。なお、FDAがGLP-1受容体作動薬の合併症の可能性について検討したのは今回が初ではない。2023年にも同薬に関連した腸閉塞の報告を調査しており、そのリスクが認められてオゼンピックの添付文書が後に改訂されたと、CBSニュースが報じている。
オゼンピックおよびウゴービを製造するノボノルディスク社の広報担当者は、「当社はこれらのモニタリング活動の一環として、FDAがGLP-1受容体作動薬に関連する複数の潜在的なリスクに関する情報を評価し、その評価の過程に関する情報をウェブサイトに掲載していることを認識している」と、CBSニュースに対しコメント。「ノボノルディスク社は、指定された通りに医療提供者のもとで使用されるならば、当社の全てのGLP-1受容体作動薬は安全かつ有効だと考えている」と付言している。
マンジャロおよびゼップバウンドを製造するイーライリリー社の広報担当者は、「FDAはGLP-1受容体作動薬の特定の潜在的リスクに関するデータを検討している。患者の安全が当社の優先事項であり、これらの潜在的なリスクに関する情報についてFDAと協力している」と、CBSニュースに対し語っている。
2023年9月までに、オゼンピックおよびウゴービの有効成分であるセマグルチド、またはマンジャロおよびゼップバウンドの有効成分であるチルゼパチドを含む薬を使用している患者の間で、自殺または自殺念慮が201件報告された。
一方、脱毛については少なくとも422件報告された。なお、一部の抗うつ薬や経口避妊薬などの他の多くの薬剤も、脱毛に関連するとされている。
頻度は高くないものの、誤嚥についてもFDAに報告されている。セマグルチドまたはチルゼパチドを使用している患者において、食物などが気道に誤って入ってしまう誤嚥が認められた症例が18件報告された。
2023年3月に発表された症例報告では、カナダの医師が、手術前に18時間絶食したにもかかわらず、胃に内容物がかなり残っていた患者を報告した。この患者はその2カ月前から、減量のためにセマグルチドの注射を開始していた。2023年6月、米国麻酔科学会はこの合併症の可能性を理由として、待機手術の前にはGLP-1受容体作動薬の使用を中止するよう患者に呼びかけている。(HealthDay News 2024年1月4日)
https://www.cbsnews.com/news/ozempic-possible-side-effects-hair-loss-suicidal-thoughts-fda/